こちらの記事の続きです。
先にお読みいただけると、5倍くらい楽しくお読みいただけるかと思います。
1998年長野オリンピックからNHL選手が参戦してから盛り上がりに大きく火をつけた冬季オリンピック男子アイスホッケー競技。
今では、冬季オリンピックの最後のトリを任されているのが、この男子アイスホッケー競技の決勝戦で、アイスホッケー選手のみならず、世界中の人々を虜にしています。
しかし、過去2大会、2018平昌五輪・2022北京五輪ではNHL選手が参戦不可に。
そして12年の空白期間を経て、NHL選手が冬季オリンピックの舞台に戻ってきました。
今回の記事では、どのような経緯でNHL選手が2026ミラノ・コルティナオリンピックに戻って来れたのか、そしてこれがアイスホッケーファンにとって如何にヤバいことなのか、徹底解説していきます!
▼NHLについて詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
2026ミラノ・コルティナオリンピックに向けて…
2018年平昌五輪の国際オリンピック委員会(IOC)とNHLの対立、そして2022年北京五輪のコロナパンデミックによる直前辞退によって、過去の冬季オリンピック2大会ではNHL選手が出場できなかった深い絶望。
ここから始まった2026年ミラノ・コルティナ五輪に向けた協議は、三度目の正直を誓う関係者たちの並々ならぬ執念によって進められました。
北京五輪を逃した直後から、選手たちの「次こそは」という声はかつてないほど高まっていました。
特に27歳になったConnor McDavidら全盛期のスターが一度も五輪に出られていないという危機感が、保守的だったNHLのオーナーたちを動かします。
2024年2月「参加への基本合意」

NHL、NHL選手会(NHLPA)、IIHFの3団体による合意の様子。
NHLのAll-Star Weekendの場で、リーグ、選手会、IIHFが揃って記者会見を行いました。

北京の時はウイルスのせいで本当に残念だった。
でも、選手たちの熱意は痛いほどわかっている。
我々も決めたよ。
2026年ミラノだけでなく、2030年(フランス)も参加する方向で動く。

そのために、私たちが懸案事項を一つずつ潰してきました。
選手の旅費と保険料、これは我々IIHFが責任を持って支払うと約束します。
財源はこれから確保しますが、もうNHLに金銭的なリスクは負わせません。

(NHL選手会)
それならチームのオーナーたちも文句はないはず!
あとは、リンクの問題だ。
国際大会の広いリンクだと僕たちのプレースタイルが変わってしまうし、怪我のリスクも増える。

検討した結果、ミラノの全試合をNHLサイズの狭いリンクで行うことを特別に認めるよ。
これで選手たちのコンディションも維持できるはずだ。
関係者全員が、協力してNHL選手のオリンピックという舞台での活躍を目指した合意となりました。
NHLを含んだ北米のスケートリンク(60m×26m)は、世界標準のスケートリンク(60m×30m)よりも幅が4m狭い。
この差がアイスホッケーのプレースタイルに大きな差を生むのである。
狭い北米スケートリンクでは、よりタイトなスペースでのフィジカルなプレーが魅力に。
広い世界標準スケートリンクでは、より広いスペースを使ったスピード感のあるプレーが魅力に。

僕も2024-25シーズンにアメリカのマイナープロリーグでプレーしていたけど、これまでプレーしていたアイスホッケーとは全く別のスポーツだと感じたほど、全然違うプレースタイルだったよ…。
2025年7月2日:詳細を詰めた完璧な「最終署名」
スイス・チューリッヒのIIHF本部にて、ついに最終的な調印式が行われました。

リンクの建設(ミラノ・サンタジュリア・アリーナ)の進捗が少し心配だが、現地のオーガナイザーを信頼しよう。
今回の契約には五輪の映像をNHLのプロモーションで使える権利をより強力に盛り込ませてもらった。
これでリーグの成長にも繋がる。

ああ。これまでのような厳格すぎる制限は撤廃し、パートナーとして協力しよう。
選手には1人につき1人のゲストを同伴させるホテルやチケットも用意する。
過去の失敗から学び、最高のおもてなしを約束するよ。

12年ぶりに世界最高の『ベスト・オブ・ベスト』が戻ってくる!
これはホッケー界にとって、歴史上最も素晴らしい日だ!
遂にNHL選手が12年ぶりにオリンピックの舞台へ
今現在開催されている2026ミラノ・コルティナオリンピック男子アイスホッケー競技。
遂にNHL選手が12年ぶりに解禁され、世界最高峰の技術同士がぶつかり合う熱戦を繰り広げ、世界中のアイスホッケーファンを熱狂させているのです。
最強国を決める世界選手権は毎年あるよね?
アイスホッケーにはIIHF世界選手権(IIHF Worlds Championship)が毎年あります。
トップディビジョンに属するのは16カ国。
この国々で毎年世界一を決める大会が5月に行われております。
もちろん、大会としては非常に面白いです。
開催されていればもちろんめっちゃ夜更かしして見てしまいます。
しかし、100%熱を込めて楽しめるかというと、そうではないのです。
毎年5月開催が基本であるため、NHLプレーオフ(春〜初夏)とガッツリ被る。
(NHLのレギュラーシーズンは4月中旬まで。プレーオフはそこから6月まで行われる。)
これじゃプレーオフに出場しているNHLの主力級が自国代表として揃う事ができません。
大体カナダ・アメリカ・スウェーデン・フィンランドなどの超強豪国のユニフォームを着てプレーしているのは、NHLプレーオフに残れなかったチームのスター選手が数名。
残りはNHL下部マイナーリーグのAHLや、ヨーロッパの各国のトップリーグでプレーしている選手たちです。
(もちろん彼らも世界的に見たら宇宙人レベルで上手い)

例えば、こちらは、2023年世界選手権のカナダ代表のキャプテンとオルタネイト・キャプテンの5人の写真。
この時は彼らはカナダ代表の中心選手として活躍するものの、今回の2026ミラノ・コルティナ五輪のような、NHL選手が全員参加可能なオリンピックのカナダ代表には誰一人として選ばれておりません。
つまり、『世界選手権』という、世界で国を背負って戦う機会があるにも関わらず、NHLの優勝争いに絡むトップ選手ほど出づらく、さらにはオフシーズンに怪我の休養に専念する選手もおり、NHL選手も参戦する『ベスト・オブ・ベスト』な国別対抗戦とは言えないのです。
だからファンも選手もずっと思ってた。
NHLのスター選手たちが全員参加可能な国別大会、マジで欲しい。
五輪は4年に1回で希少性がある上に、“国”の文脈が一気に乗る。
だからこそ、冬季オリンピックが完全体となるのがバケモン級にアツいわけです。
NHLオタクの僕からしたら…ロスターが夢すぎてヤバ

NHLオタクはみんな、今大会の代表チームを見るとヨダレが止まらなくなります。
もちろん僕も、この写真だけでご飯が3倍いけますし、50時間くらいは瞬きせずに目を開けていられます。
NHLスター選手勢揃い。まさにアベンジャーズ!
以下の表は、参加国別のNHLチーム所属選手数です。
カナダ・アメリカ・スウェーデンの3カ国はNHL選手だけでロスター最大数の25人を構成できます。
| 国名(カタカナ) | 現在NHLチーム所属の選手数 |
|---|---|
| カナダ | 25 |
| アメリカ | 25 |
| スウェーデン | 25 |
| フィンランド | 24 |
| チェコ | 11 |
| スイス | 10 |
| ドイツ | 7 |
| スロバキア | 7 |
| デンマーク | 6 |
| ラトビア | 6 |
| フランス | 1 |
| イタリア | 0 |
「え!?この選手が代表入れないの!?NHLでとんでもない活躍してるぞ?」
「あ、いやでもこの代表選手たち見たら確かに外すしかないか…」
って現象が50回くらい起きています。
マジでこの2カ国は別格。
そして12年という空白期間があって、大体35歳以下の、今が全盛期の選手たちは、基本的にオリンピック初出場。
カナダ代表
カナダを見ると
- 今回オリンピック初出場で、世界の誰しもが認める現役No.1FWのConnor McDavid(コナー・マクデイビッド 29歳)
- 同じく今回オリンピック初出場で、世界No.2 FWの呼び声が高いNathan MacKinnon(ネイサン・マッキノン 30歳)
- レジェンドFWであり、もしかしたら最後のオリンピック出場となるかもしれない、キャプテンのSidney Crosby(シドニー・クロスビー 38歳)
- 同じく今回オリンピック初出場で、現役No.1DFCale Makar(ケイル・マカー 27歳)
と揃っており、例えば、去シーズン(2024-25シーズン)のNHL新人王であるConnor Bedard(コナー・ベダード 20歳)や、昨シーズン行われた4 Nations Face-Off(カナダ・アメリカ・スウェーデン・フィンランドの4カ国で行われた世界最強決定戦)にも招集されたSeth Jarvis(セス・ジャービス 24歳:怪我人が出たことによってカナダ代表として追加招集された)などが落選しておりました。
アメリカ代表
アメリカを見ると
- 世界No.1のリストシュートを持つといっても過言ではない Auston Matthews(オーストン・マシューズ 28歳)
- 点も取れるし超絶フィジカルプレーも得意なMatthew Tkachuk & Brady Tkachuk(マシュー・カチャック 28歳 & ブレディー・カチャック 26歳)兄弟
- Makarと並ぶ現役No.1DFのQuinn Hughes(クイン・ヒューズ 26歳)と、小さな巨人Jack Hughes(ジャック・ヒューズ 24歳)兄弟
と揃っており、Dallas StarsのトップスコアラーのJason Robertson(ジェイソン・ロバートソン 26歳)や、一時期は世界No.3DFとも呼ばれていたAdam Fox(アダム・フォックス 28歳)が落選しております。
全員がNHL各チームの超エース級選手。バケモン揃い。もうねワクワク止まらん。
これを選ぶ側の人たちも大変だろうなぁと…。
カナダ・アメリカはBチームも作れそう
アイスホッケーのファンたちの間では、「代表から落選してしまったNHLスター選手たちで、Bチームを作ってみた」的な投稿がよくみられます。
これが“ベスト・オブ・ベスト”の証明で、競争の激しさを表しております。

このBチームですがマジで訳わからんほどエース級選手だらけでヤバいのよ。
このBチームでもベスト4いけちゃうんじゃないの!?ってくらい
まとめ:2026ミラノ・コルティナ五輪、12年待った「真の頂上決戦」を見逃すな!
2014年ソチ五輪を最後に、私たちが待ち望んでいた「ベスト・オブ・ベスト」の戦いが、ついに2026年ミラノ・コルティナ五輪で現実となります。
- 12年ぶりの完全復活: 政治やパンデミックを乗り越え、NHL選手が五輪の舞台へ。
- 新旧スターの融合: 初出場のマクデイヴィッドと、最後の五輪になるかもしれないクロスビー。
- 史上最高レベルの戦い: かつてないほど才能が飽和した現代アイスホッケーの到達点。
2026年2月、私たちはアイスホッケーの歴史が塗り替えられる瞬間を目撃することになるでしょう。まさに「アイスホッケー版アベンジャーズ」が集結するこの大会。
そりゃ熱くならない方が無理です。
毎回冬季オリンピックのトリを務めるのが男子アイスホッケー競技の決勝戦。
2026年2月22日(日) 日本時間 22:10から‼️
YouTubeでリアクションLIVE配信会とかしようかな?
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