2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪アイスホッケー競技の最終予選が今月末(2024年8月末)に行われます。
今回は、その最終予選の相手国の一つであり、
8月29日(土) 22:30(日本時間) に対決するノルウェーについて詳しく解説していきます。
最終予選の概要・試合日程と敵国の簡単なまとめについては以下をご覧ください。
日本 vs ノルウェー比較
日本 | ノルウェー | |
---|---|---|
世界ランキング(58ヶ国中) | 24位 | 12位 |
2024世界選手権 | Division1A(2部) 5位/6ヶ国 →実質世界21位 | Top Division 11位/16ヶ国 |
選手たちの主な在籍リーグ | アジアリーグ (日本・韓国からなる国際リーグ) | 4割以上が自国ノルウェーリーグの選手 |
注目選手 | – 平野裕志朗(ICEHL・Innsbruck) – 佐藤優(前シーズンKHL・Torpedo) | – Nikoraj Ehlers(NHL・Winnipeg) – Frederik Andersen(NHL・Carolina) |
競技人口(人) (2024年IIHFが発表) | 16,219 (1万人あたり約1.3人) | 8,618 (1万人当たり約15.5人) |
デンマークほどではないが、非常に格上な相手
ノルウェーはアイスホッケーが非常に盛んな国の1つ。
競技人口は、日本が16,219人、ノルウェーが8,618人と、日本の方が約2倍。日本の方がアイスホッケーが盛んなように思えます。
しかし、ノルウェー全体の人口は約550万人ほどで、だいたい兵庫県の人口と同じくらい。
日本の人口の22分の1ほどしかいません。
人口1万人あたりのアイスホッケー競技人口で比較すると、日本は1.3人、ノルウェーは15.5人と、ノルウェーの方が12倍ほどの割合でアイスホッケープレイヤーがいることが分かります。
国際アイスホッケー連盟が過去4年間の世界大会での結果を元に発表している世界ランキングでは、日本は24位、ノルウェーは12位と大きな差があります。
またノルウェーは2004-05シーズンに世界選手権Division1(当時の2部リーグ)で優勝してTop Division(1部リーグ)へ昇格して以来、なんと一度も降格していません。
20年近くずっと、カナダやアメリカ、ロシアなどの世界のトップの国々と戦って、生き残ってきたチームです。
対する日本は、世界選手権では8年もの間、Division1B(3部)でプレー。
2023年に昇格を果たし、2024年には、Top Division経験国が集うDivision1A(2部)で5位/6ヶ国で最低限の残留という結果。
2004年以来の20年間、世界選手権Top Divisionの氷を踏んではいないため、ノルウェーとは戦ってきた舞台に大きな差がある国と言えるでしょう。
2023年には最強国カナダを撃破
ノルウェーは、カナダやアメリカ、ロシアやスウェーデン、フィンランドといったトップ国たちと比べたら少々見劣りしますが、2023年世界選手権では、誰もが認める世界最強国であるカナダをシュートアウトの末に撃破しています。
世界選手権は、世界最高峰アイスホッケーリーグNHLのプレーオフと開催時期が被るので、もちろんカナダも万全のロスターではありませんでした。
しかし、プレーオフ出場できなかった数名のNHLスター選手に加え、そのNHLの下部リーグであるAHLや、ジュニアトップリーグでプレーするNHLスター選手の卵がいるカナダを撃破する力があると言うのは、とてつもない脅威であることは間違いないです。
オリンピック経験も豊富
そんなノルウェーはオリンピック出場経験も豊富。
1952年オスロで五輪アイスホッケーに初出場してから、1994年自国ノルウェー開催のリレハンメル五輪までほぼ毎大会出場。
そこから3大会は予選で敗れて出場が叶わなかったものの、2010バンクーバー、2014ソチ、2018平昌と再度連続出場。
直近の北京五輪では、最終予選にて因縁ライバルのデンマークに敗れ、デンマークに五輪初出場の機会を与えてしまいましたが、今回の最終予選ノルウェー代表メンバーにも、2018平昌五輪の経験者が5人在籍しているようです。
対する日本は、1998年の長野五輪にて開催国枠として初出場するも、それ以来の6大会では全て最終予選、もしくはその一つ前段階での予選の壁を越えられず、現役選手の中でオリンピック経験者は0です。
正直に言って、ノルウェーはかなりの格上なチームであり、2016年に日本代表が2018平昌五輪最終予選で戦って3連敗に喫したドイツ・オーストリア・ラトビア以来の強豪国の一つだと言えるでしょう。
(1大会前の2022北京五輪予選では、3次予選でスロベニア(当時世界ランキング20位)に敗北し、最終予選にも辿り着いていません)
NHL、ヨーロッパトップリーグ、そして自国ノルウェーリーグの選手たち
歴史上、世界最高峰アイスホッケーリーグであるNHLにてプレーしたことのあるノルウェー人はなんと9人。
そのうち4名が今回のノルウェー代表に選出されています。
そのうち現役のNHL選手は2人
(しかも1人はめちゃめちゃスター選手)
比較的NHL選手の輩出数はそこまで多くないですが、対する日本は、NHLにてプレーしたことのある日本人は、今回の最終予選に参加する日本代表にもメンバー入りしているゴールキーパーの福藤豊選手(41)(現H.C.栃木日光アイスバックス所属)のみ。
スケーター(ゴールキーパー以外)でNHLでプレーしたことのある(日本生まれの)日本人はいません。
そして、スウェーデン1部・2部や、フィンランド1部、ドイツ1部などヨーロッパトップリーグでプレーする選手や、自国ノルウェー1部リーグの選手が選出されており、ほぼ全員がアジアリーグ(日本代表のほとんどの選手がプレーするリーグ)よりもレベルの高いリーグでプレーしている、非常に手強い相手です。
ノルウェー要注意選手
背番号 | ポジション | 名前(年齢) | 所属チーム |
---|---|---|---|
36 | FW | Mats Zuccarello(36) | Minnesota Wilds(NHL) |
41 | FW | Patrick Thoresen(40) | Djurgårdens IF(スウェーデン2部) |
28 | FW | Michael Brandsegg-Nygård(18) | Skellefteå AIK(スウェーデン1部) |
76 | DF | Emil Lilleberg(23) | Tampa Bay Lighting(NHL) |
Mats Zuccarello(マッツ・ズカレロ、36歳)
ノルウェー史上、最も素晴らしい選手であるのが、現役のNHLスター選手であるMats Zuccarello(マッツ・ズカレロ、36歳)。
17歳の時にノルウェー1部リーグでデビューし、19歳の時にはリーグで若くしてリーグTop3のスコアラーとなりました。
その後も順調に成長し、22歳の時にはヨーロッパ最高峰アイスホッケーリーグの1つであるスウェーデン1部リーグSHLでそのシーズンの最も価値のある選手に選出されます。
NHLにはドラフトされなかったものの、その活躍がNHLスカウトの目に留まり、New York Rangers(NHL)と契約。
2019年には現在所属のMinnesota Wilds(NHL)に移籍します。
合計15シーズン・931試合に出場、691ポイントという素晴らしい結果を残しており、173cm/82kgとNHLでは非常に小柄な選手であるのにも関わらず、持ち前の視野の広さとパス精度の高さで攻撃の中心となる脅威的な選手です。
Patrick Thoresen(パトリック・トレセン、40歳)
ノルウェーの伝説的ベテラン選手であるPatrick Thoresen(パトリック・トレセン、40歳)も要注意選手の1人でしょう。
16歳の時にノルウェー1部リーグでプロデビュー、次のシーズンが終わる頃には、そのリーグでTop10のスコアラーに成長。
その後の2シーズン、世界最高峰ジュニアリーグであるQMJHL(カナダ)にてプレーし、そこでも大活躍。
NHLドラフトには選出されませんでしたが、その後3シーズンをスウェーデン1部・2部リーグ、そしてオーストラリア1部リーグでプレーした後、それらの活躍が認められ、Edmonton Oilers(NHL)と契約。
2006年に23歳でNHLデビューし、ノルウェー史上初の非ドラフト指名のNHL選手となりました。
NHLでは2シーズン・120試合に出場し26ポイントと、そこまで大活躍とはいきませんでしたが、その後のキャリアでは、ヨーロッパ最高峰リーグであるロシア1部リーグであるKHLや、スイス1部NLAで活躍します。
中でも、2010-11シーズンは、KHLにてポイント数で上位2番目というとんでもない選手。
直近の7シーズンは自国ノルウェー1部リーグ所属のStorhamarのキャプテンとしてプレーし、23-24シーズンは40歳ながら、45試合64ポイントとリーグ2位のスコアラーに。
年齢の影響を受けていないかのような脅威的な記録を残し、毎年ノルウェーアイスホッケー連盟が最も価値のあるノルウェー選手を讃える「Gullpucken」に選出されました。
ノルウェー代表として何度も世界選手権に10回も出場したり、2010バンクーバー・2014ソチ・2018平昌オリンピックにも出場。今回の最終予選では主将としてチームを牽引。
年齢の衰えを見せない、ノルウェーアイスホッケー界の神様のような選手に要注意です。
Michael Brandsegg-Nygård(ミカエル・ブランドセグ・ニーゴルド、 18歳)
ノルウェーの次世代のエースとして期待されるのがMichael Brandsegg-Nygård(ミカエル・ブランドセグ・ニーゴルド、 18歳)です。
16歳の時に、ノルウェー1部リーグでプロデビュー。
17歳の時にはよりレベルの高いスウェーデンに戦いの場を移し、23-24シーズンはスウェーデン2部で、プレーオフ12試合10ポイントを含む活躍。
ノルウェー代表にも選出され、世界選手権Top Divisionで世界強豪国を相手に7試合で5ポイントと、18歳ながら主力として活躍。
2024年7月に行われたNHLドラフトでは、ノルウェー選手史上初の1巡目でDetroit Red Wingsに指名された、まさに次世代のエースです。
スピード・シュート・パス・フィジカル、どれをとっても申し分なく、Zuccarelloに次いで、NHLでの活躍が期待される彼には要注意です。
Emil Lilleberg(エミル・リレバーグ、23歳)
ノルウェーのDF陣の要としてプレーするのがEmil Lilleberg(エミル・リレバーグ、23歳)。
17歳の時にノルウェー1部リーグでプロデビュー。
20歳となる2020-21シーズンは、ノルウェーのフル代表に初選出され、世界選手権Top Divisionでプレー。
その年のNHLドラフトで、Arizona Coyotesから4巡目107番目で指名されます。
そのCoyotesとは契約しなかったものの、その後のスウェーデン1部での2シーズンの活躍が認められ、Tampa Bay Lightning(NHL)と契約し、23-24シーズンにNHLデビュー。37試合で5アシストを記録しました。
そこまでポイントに絡まず、どちらかというと堅い守りが特徴のDF。
187cm/91kgとNHLでは平均的な体格ですが、他選手に引けを取らない強烈なフィジカルプレーを見せています。
日本 vs ノルウェー、過去の対戦成績
日時 | 大会名 | 結果 |
---|---|---|
2001/05/04 | 世界選手権Top Division | 🇯🇵3:3🇩🇰 |
2000/05/03 | 世界選手権Top Division | 🇯🇵0:9🇩🇰 |
世界選手権でもカテゴリーが違く、なかなか戦うことのなかった相手。
最も直近の試合は2001年まで遡るので、お互いにほぼ初めて対決する、データの少ない相手と言えるでしょう。
結果予想
個人的には、今回現役のNHL選手6名を擁するデンマークよりも少々劣る印象。
とはいっても、非常に強力であることには変わりないです。
正直言って、デンマークと同じで100回やったら95回は負かされる相手。
世界中のアイスホッケーファンは口を揃えてノルウェーの勝ちだと言うでしょう。
非常に格上ではありますし、トッププレイヤーたちの爆発力はあるチーム。
しかし、対策をしっかり行えば、勝てない相手ではないでしょう。
大事なのは、とにかくロースコアゲームにすること。
僕の予想は、オーバータイム(延長戦)までもつれこんで、
日本2-1ノルウェー(19 SOG 40)で日本の勝利!
どうか、日本代表の選手たち、ジャイアントキリングを起こしてほしい!
がんばれニッポン!
YouTube生中継
この最終予選の試合は、全てTBSスポーツさんのYouTubeチャンネルにて、生中継されます!!
みんなでこれを見て、応援しましょう🔥
最終予選概要、試合日程はこちら↓
他のノルウェー以外の2国についての記事はこちら
アイスホッケーのルールが知りたい方へ
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とりあえずこちらのブログ記事を読んでみてくださいませ😊