ボディコンタクトも一定の範囲で認められていて
フィジカルプレーの激しさが魅力の一つであるアイスホッケー。
試合中にしばしば発生する乱闘シーンも多くの注目を集めています。
上の記事では、そのアイスホッケーにおける国際アイスホッケー連盟のルールブックにおける乱闘のルールを解説しました。
今回は、そのルールとは少し違う、北米プロリーグ、そしてジュニアリーグの乱闘におけるルールについて解説いたします。
文化として乱闘がエンタメとして容認されている北米プロリーグ
世界最高峰のアイスホッケーリーグであるNHLをはじめとする北米のプロアイスホッケーリーグや興行の側面が強いカナダのメジャージュニアリーグ(CHL)では
乱闘がアイスホッケーのエンタメ要素の1つとして行われています。
試合を見にくるファンも
乱闘を楽しみに観にいくという人もいるくらいです。
これは冗談や例え話ではありません。
ガチで
「この試合は、両チームに乱闘がクソ強いことで有名な超ゴツいプレイヤーがいる。
この両選手による乱闘がゼッタイ行われるはずだ。観にいこう。」
というファンがいるんです。
このように乱闘がエンタメとして成立する背景には
北米プロリーグならではの乱闘に関するルールの緩さが関係しているのです。
乱闘しても試合退場にならない
国際アイスホッケー連盟のルールに則った場合
乱闘を行った選手には
アイスホッケーにおける最も重いペナルティであるゲームミスコンダクトペナルティとして
試合退場処分(に加えて、数試合の出場停止処分)が科されます。
しかし、乱闘をエンタメとして容認することでお客さんを引き寄せる北米プロリーグでは
2番目に軽いペナルティであるメジャーペナルティとして
5分間の退場処分のみが科されます。
乱闘しても、5分間をすればペナルティボックスから出て来れるわけです。
好き勝手に乱闘して良い訳ではない
北米プロリーグでも
国際アイスホッケー連盟における乱闘のルールと同じように
乱闘する際にも細かいルールが定められており
乱闘に関して寛容なルールとはいえ
秩序なく乱闘を行えるわけではありません。
相手が転んでも乱闘を辞めないと、試合退場処分
(画像引用:https://ottawasun.com/sports/hockey/nhl/ottawa-senators/tkachuk-wont-be-suspended-for-fight)
どちらか片方が転んだら、審判が止めに入り、両選手は乱闘を終えなければいけません。
そんな中でも相手に殴りかかるのを辞めない選手は「アグレッサー(Aggresser)」とみなされ
アイスホッケーのペナルティで最も重いゲームミスコンダクトペナルティが科され、
試合退場処分となります。
(国際アイスホッケー連盟ルールでは
乱闘したら試合退場 + アグレッサーは2分間のマイナーペナルティが追加。)
煽って乱闘を引き起こしたら、追加ペナルティ
(画像引用:https://sinbin.vegas/ryan-reaves-wasnt-always-a-heavy/)
相手を煽り、乱闘を引き起こした選手は「Instigater(インスティゲイター)」とみなされ
追加でミスコンダクトペナルティ(10分退場)が科されます。
(国際アイスホッケー連盟ルールでは
乱闘したら試合退場 + インスティゲイターは2分間のマイナーペナルティが追加。)
2次乱闘は試合退場
これは北米プロリーグ特有のルールです。
2次乱闘とは、最初の乱闘が起こされた後に、別の場所で連鎖的に起こされた乱闘のことを指します。
北米プロリーグにおいては、この2次乱闘を行った選手は
アイスホッケーのペナルティで最も重いゲームミスコンダクトペナルティが科され、
試合退場処分となります。
つまりは、最初に起こった乱闘よりも、2次乱闘の方が罪が重いのです。
これは、40年前に決められたルールで、
連鎖して引き起こされる乱闘により
試合に出場できる選手がいなくなってしまうことを防ぐために導入されたルールらしいです(笑)
(画像引用:https://www.reddit.com/r/hockey/comments/mwjzk8/the_hurricanes_penalty_box_right_now_yes_thats_4/)
40年前までは、みんなが乱闘しすぎて、ペナルティボックスがパンパン、ベンチはスカスカ、みたいな感じだったんですかね🤔
なんちゅうルールだよ(笑)
先日、Twitterにて有名な記者さんに教えてもらいました笑
あくまで北米のプロリーグだけである
(画像引用:https://www.denverpost.com/2013/12/01/rules-against-fighting-in-ncaa-hockey-dont-deter-cheap-shots/)
興行として行われている北米のプロリーグでは
上記のような、乱闘に寛容なルールを設け、集客につなげているわけですが
逆にいえば、集客を本来の目的としていないリーグでは
例え北米といえども、乱闘は厳しく制限しています。
例えば
- NHLへの登竜門であるNCAA(アメリカ大学リーグ)
- アメリカのメジャーなジュニアリーグ(USHL・NAHL・NA3HL)
- ジュニアリーグより下の全てのカテゴリー
- 興行的な側面も強いカナダのメジャージュニアリーグ(CHL)の中でも
ケベックを中心としたQMJHL(2023年の夏にルール変更を発表。大きな話題を呼んだ。)
では、国際アイスホッケー連盟のルールと同じように
乱闘に参加したらゲームミスコンダクトペナルティが科され
即試合退場となります。
(上記の中でも、試合数の多いリーグ(QMJHLやジュニアリーグ未満のカテゴリー)では、選手たちはその試合退場処分を科されることを覚悟して乱闘を行う選手も多いようですが…。)
プロリーグに入る前の選手たちが育成される場ですし、
乱闘はやはり危険性も伴う行為であり、プレーする選手には傷害保険もかけられているわけですから
選手1人の問題ではないわけです。
そのような流れもあって、これらの育成環境下での乱闘における厳しい制限は
いくら血の気が盛んな北米とはいえ、これからも緩むことはないでしょう。
まとめ
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以上になります。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!