こんにちは!もんじです。
アイスホッケーのスケート靴のエッジに、溝の深さの単位があることをご存知でしょうか?
今回は、自分のプレーのパフォーマンスを大きく向上させるために必要な、エッジの溝の深さの単位について解説いたします。
この記事はこんな人におすすめ!
- スケート靴のエッジの溝の深さについて詳しく知りたい
- 自分に合った溝の深さを知りたい
- 研磨をお願いしたときに「深さどうしますか?」と聞かれて困ってしまった人
また、以下の記事も併せてお読みいただくと、理解が早まると思いますので是非!
それではどうぞ!
溝の深さの単位「ラディアス(radius)」
スケート靴のエッジの溝の深さの単位をラディアス(radius)といいます。
(radiusの発音を日本語にすると「ラディアス」「ラディウス」の2通りがよく使われますが、radiusの発音記号 “‘rādēəs”の“ə”は「ア」の発音が一番近いので、「ラディアス」で統一いたします。)
日本語訳で「半径」を意味します。
ん、どこが半径…?とお考えの方は以下のイラストをご覧ください。
このように、スケートのエッジの溝は、円の半径で定まる弧によって深さが決まるのです。
よって、この深さの単位をラディアス(radius)と呼びます。
ラディアスと溝の深さは反比例
図のように、ラディアスが大きくなると、円弧のカーブが緩やかになるので、溝の深さは小さくなります。
反対に、ラディアスが小さくなると、円弧のカーブが急になるので溝は段々と深くなります。
溝の深さと特徴
溝の深さが大きくなると、氷にエッジがしっかりと食い込むようになり、氷との摩擦が大きくなります。
この氷との摩擦の差が感触の大きな違いを生みます。以下で詳しく解説いたします。
最適なスケーティングスタイル
溝が浅い場合、エッジを深い角度まで倒すと、氷にエッジが上手く刺さらず、スリップしやすくなります。
溝が深い場合、エッジを深くまで倒しても氷を上手く掴んでくれます。
食べ物を切るときに、切れ味が鋭い包丁を使っている場合、面に対して包丁を倒して薄く切っていてもしっかりとスライスされる、みたいな感覚ですね。
よって「エッジを深くまで倒す必要がある場合は」溝が深い方が安定します。
では、いつどんなときにエッジを深く倒すのでしょうか。例えば以下の時です。
長いストライド(歩幅)で大きく強くスケートしている時
長いストライドとは、例えば、「階段を登るときに1段ずつ登るよりも1段飛ばしで(2段ずつ)登る方が歩幅が大きく、1回の蹴りで地面(階段)に接触している時間が長い」みたいな感じです。
1段飛ばしで登っていると、足首は毎回深い角度まで曲げますよね?
スケートでも同じで、1歩1歩長いストライドで蹴りを行うと、エッジが深い角度まで倒れます。
僕もあまり足の回転が速い選手ではなく、1歩1歩を力強く蹴るのが好きなため、エッジは周りのプレイヤーよりは深めです。
現在北米のECHLでご活躍されているアイスホッケー選手、三浦優希選手(@yukimiura36)は、非常に長いストライドでスケーティングを行っております。
優希さんはマジでスケーティングが美しすぎるんですよ…相当努力されたんだろうなと毎度感心いたしております。
是非、三浦優希さんのスケーティングを真似したい!という方は少し深めの溝にすることをお勧めいたします。
速いスピードでスケートしている状態から急なストップをした時
氷上で滑っている途中でストップする時、当然ですが氷との摩擦でスピードを殺しています。
よって、速いスピードでスケートしている状態からストップをかける時、より強い摩擦を必要とし、エッジをより深く傾ける必要があります。
上の写真のように、物凄いスピードから急にストップしようとすると、エッジと氷上との角度が45度以下になることもあります。
あらかじめエッジの溝を十分に深くしていないと、このような急なストップの時に、氷にエッジが上手く刺さらず、スリップして転倒してしまうのです。
速いスピードで急なターンをするとき
ターンの時もストップと同じで、エッジを深く傾ける必要があります。
エッジの溝を十分に深くないと、スリップして転倒してしまったり、遠心力をエッジが支えきれず、ターンが大回りになってしまい、プレーのキレが無くなってしまいます。
スピード
摩擦が生じにくい分、溝が浅い方がスピードが出やすいです。
(スピードスケート選手の使用しているエッジは、アイスホッケー選手と比べて溝が非常に浅めに整えられているそうです)
アイスホッケーが上達するにつれ、スケーティングのスキルが上がり、スピード向上のために溝を少しずつ浅くしていくのが一般的です。
しかし、溝を浅くしすぎても氷を上手く掴んで蹴ることが出来なくなるので、極端に浅くしてはいけません。
前述のように、スケーティングスタイルに合わせた溝の深さにしなければなりません。
グライドのしやすさ
グライド(glide)とは、直訳すると、「滑るように動く」「滑走する」という意味で、ここでは、ストップした時の滑り具合を指します。
車のブレーキを踏んだ際に完全に静止するまでの制動距離、みたいなものです。
止まる動作を始めてから、実際に止まるまでに横滑りするのをグライドと呼びます。
溝が浅ければ浅いほどグライドしやすい
溝が深いほど、グライドしづらく、ギュッと短い距離で止まることが出来ます。
これにより、次のプレーへの移行を速やかに行うことが出来ます。
しかし、深ければ深いほど良いというわけではありません。
過剰に溝が深く、氷との摩擦が大きすぎると、足への負担が大きくなります。
すると、全体的に疲れやすくなり、また1回1回のストップが重たくなってしまいます。
よって、各々に適した、バランスの取れた溝の深さを探る必要があります。
溝を深くして、フィジカル対決を有利に働かせることも
アイスホッケーはパックを持っている相手へのチェッキング(checking)がある程度許されており、ボディコンタクトが激しいスポーツです。
よって、フィジカル力を鍛え、相手に当たり負けしないように心がけることが非常に重要になります。
なるべくフィジカル力を向上したいという方は、溝の深さを少し深くすることをオススメします。
溝の深さを深くすることで、氷にしっかりとエッジが刺さることにより、踏ん張りがより効くようになり、体のバランスを崩すことを防ぐことが出来ます。
ストップの練習をしたい初心者は溝浅い方がオススメ
初心者にとって、最初に出来なくてつまづく動作の1つ、ストップ。
ストップするときは、進行方向に向かって横向きにエッジを向け、グライドを取り入れる必要があります。
初心者にとって、このグライドを自ら意識して動作を行うのは至難の技です。
よくあるのは、スピードを維持してエッジを横向きに滑らせた際に、その動作が働いている向きがエッジの向きに働いてしまい、急な90度の方向転換に体が追いつかずに転倒する、といった一連の流れです。
しかし、ここで溝の深さとグライドのしやすさの関係を取り入れてみましょう。
前述の通り、溝を浅くするとグライドしやすいです。
このようなストップしようとした時の意図していない方向転換は、氷との摩擦が強すぎるから起きてしまうことです。
ここで溝を少し浅く設定することで、エッジが氷を掴みすぎることなくグライドしやすくなり、上手くストップする感覚を掴むことができます。
そして、その感覚を完璧に掴んでから、徐々に溝を深くすることで、氷との摩擦が強い状況でのストップも体得することができるでしょう。
僕がコーチとして教えている生徒たちが、「研磨したらストップできなくなった」とよく言っていました。これは研磨したことにより、氷との摩擦が大きくなり、その摩擦の扱いに慣れていなかったためだと考えています。
ラディアス12種類の中でもよく使用されるのは5種類ほど
ラディアス(radius)は全部で 1+1/4″ 〜 5/16″ の12種類あり、中でも 11/16″ 〜 7/16″あたりがよく使用されます。
(図では右に行くほどラディアスが小さくなり、エッジの溝が深くなります。)
特に初心者がよく使用するのは、1/2″だと言われていますね。
(ストップの練習をしたい場合は 3/4″ or 11/16″くらい、全体的なスケーティングの練習をしたい場合は 5/8″~1/2″ くらいがお勧めです。)
トッププレイヤーになると、溝を段々と浅くする人が多いのですが、反対に非常に深い溝にしている選手もいたりします。
その人のスケーティングスタイルによって、適切な溝の深さは違うので、是非自ら様々な溝の深さを経験し、自分に合ったラディアスを見つけてみてください。
僕は1/2″でいつも研磨してもらっております。
スケーティングのストライドが長く、大きく強く正確にスケーティングを行いたいのと、フィジカルをより有利に働かせ、ボディバランスを向上させたいからです。
自分は結構溝が深い方で、周りの人は5/8″が一番多いですね。
僕と同じくらいの溝の深さでプレイしている人はあまり見かけません。
どうやってラディアスを調整するの?
お近くのアイスホッケーショップにエッジの研磨をお願いしに行ってください。
その際「溝の深さを〇〇でお願いします」と言えばすぐにやってもらえます。
大体、両足1セット¥500~¥800くらいで研磨してもらえます。
研磨すべき頻度についてはこちらの記事で解説しております。
まとめ
このことを理解しておくだけで、よりアイスホッケーの上達に繋がるのではないでしょうか?
これからもアイスホッケーに関する記事を書いていきますので、是非お読みくださいませ!
以上になります。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!