【アイスホッケー用語完全理解シリーズ】選手交代が複雑なスポーツ!セット(set)とは?スタミナ消費が半端ない?

アイスホッケー用語解説

こんにちは、もんじです!

アイスホッケー観戦の時、選手がどんどん交代していくのを見て、混乱してしまった経験はありませんか?

今回の記事は、アイスホッケーにおける選手交代(チェンジ(change))が、なぜ、どのように行われているのか

そして、重要なセット(set)という概念について解説いたします!

もんじ
もんじ

この記事はこんな人におすすめ!

  • アイスホッケーの選手交代(チェンジ(change))について詳しく理解したい
  • アイスホッケー観戦をより楽しみたい
  • 「セット(set)」についてよくわからない
  • アイスホッケーの試合展開について理解したい

この記事を読めば、応援している選手がどのタイミングで試合に出場するかが予測できたり、それぞれのチームの戦略まで理解できたりします!

それでは、どうぞ!

アイスホッケーでこれだけは理解していて欲しいこと

ベンチで準備している選手は「補欠選手ではない」

アイスホッケーでは、GK1人と、プレイヤー5人が基本的にプレイしています。

しかし、ベンチではその3倍ほどのプレイヤーが準備している姿が見られますよね?

彼ら / 彼女らは補欠選手であると思いがちではありますが、実は全くそんなことはありません。

彼ら / 彼女らのうち、ほとんどの選手が、出場している選手と交代して、試合に出場します。

そしてほとんどの選手は同じ回数、同じ時間の出場機会を与えられています。

ベンチにいるメンバーのほとんどは、決して「補欠選手」ではない、ということを強調しておきたいと思います。

その理由について、以下で話していきますね!

どのタイミングで選手交代が行われるの?

選手交代(チェンジ(change))を行えるタイミング

  • プレイ中はいつでも可能(時間が進んでいる間)
  • しかし、プレイに参加する選手が(GK含めず)5人を超えてはならない。

アイスホッケーは規定の試合時間が決められているスポーツです。

(プロや大学生などのカテゴリーでは、ほとんどが、1ピリオド20分 × 3ピリオド = 計60分)

試合は途中途中で得点が入った時や、オフサイドがあって審判が「ピー!」と笛を吹いた時などは試合の時間が一時停止されます。

試合の時間が進んでいる間は、氷に乗っているプレイヤーの数が(GKを含めずに)自由に選手交代(チェンジ(change))を行うことができます。

しかし、プレイ中は、プレイに参加する選手が(GKを含めずに)5人を超えてはなりません。

下記の「選手交代の際、よくあるペナルティ」にて、ペナルティ(反則)について書いております。

プレイが止まった時(得点が入った時や、オフサイドで試合が一時中断した時など)

また、試合の時間が止まっている間は、氷に乗っているプレイヤーの数がいくら増えようと、プレイは止まっておりますので、フェイスオフが行われるまでは、自由に選手交代が行われます

選手交代(ラインチェンジ(line change))を行えないタイミング

  • アイシングの判定によって試合が一時停止した場合、アイシングを行ったチームのみ選手交代を行えない。その相手チームは選手交代を行える。

ピンチを抜け出すために、パックをクリア(遠くへ適当にパックを放つ)しての選手交代を禁止するために、このようなルールとなっています。

セット(set)とは?

(アイコン出典)Hockey icons created by Smashicons – Flaticon

セット(set)を一言で…

「FW3人DF2人5人1組」

「このセット単位で選手交代チェンジchangeが行われる」

上記のように、FW3人、DF2人の合計5人1組をまとめて「セット(set)」と呼びます。

このFW3人というのも、実は「センター(center)」1人と、「ウィング(wing)」2人に分けられます。

ポジションの解説についても後日行いますね!

(アイコン出典)Hockey icons created by Smashicons – Flaticon

だいたい、1つのチームにつき、この「セット(set)」が4つ組まれます。

その4つのセットが、どんどんローテーションで交代してプレイし、試合が進められていきます

なお、ゴーリー(Goalie)(ゴールキーパーのこと)は試合中は基本的に選手交代(チャンジ(change))しません。

しかし、試合途中で失点が重なり、控えのゴーリーと交代するべきだと判断された時や、

出場していたゴーリーが怪我してしまった場合などは、ゴーリーも選手交代します。

このセットの構成をロスター(roster)、またはラインアップ(line up)と呼びます。

上記2つのツイートは、それぞれ北京オリンピックに出場しているスマイルジャパンのセット表と、

僕が大ファンである、世界最高峰アイスホッケーリーグNHLに所属しているPittsburgh Penguinsのセット表です。

(Pittsburgh Penguinsの魅力について語り出すと、1万字くらい書いてしまいそうなので、ここではもちろん割愛いたします。)

それぞれ、横一列で5人の名前が記載されているのが見てとれますね。

このセット構成をロスター(roster)ラインナップ(line up)と呼ばれます。

試合前によくこのロスター(roster)が発表され、そこからどんな試合展開になるか予想されます。

このロスター(roster)発表を見るのも試合を楽しむための秘訣ですよ!

もんじ
もんじ

オリンピック中のスマイルジャパンでは

床姉妹(#14 床 秦留可・#4 床 亜矢可)

志賀姉妹(#3 志賀 葵・#16 志賀 紅音)(敬称略)

が皆同じ1セット目で起用されていますね!

やはり姉妹のコンビネーションは大きいのでしょう。


実は僕も2つ上の兄がおり、大学でも2人で同じセットでプレーすることが多かったです!

「セット(set)」は和製アイスホッケー用語

日本以外では、

  • FW3人組を「ライン(line)」
  • DF2人組を「ディフェンスマン・ペア(Defenseman Pair:略してD Pair)」
(アイコン出典)Hockey icons created by Smashicons – Flaticon

「セット(set)」という呼び名は実は日本以外では使われていません。

その代わり、多くの国では「ライン(line)」「ディフェンスマン・ペア(Defenseman Pair)」という呼び名が多く使われていますね。

同じラインの選手を「ラインメイト(linemate)」と呼んだり、

あるDFのペアを組んでいるもう1人のDFを「パートナー(partner)」と呼んだりします。

2種類のロスター構成

試合に出場登録できる選手は、ほとんどの公式大会では22人と規定されております。

よって、この22人のメンバーで、どのようにロスターを組むかが試合前に作戦として練られます。

ここではその組み方について紹介いたします。

セット4つ+ ゴーリー2人

最もシンプルでわかりやすいロスターです。

固定されたセットメンバーであるため、それぞれのセット内でのチームワークが強化されやすいです。

しかし、試合中に怪我人が出た時や、ある選手の動きが想定ほど良くなかった時などのロスター再構築が少々行いにくくなっております。

そのため、このようなロスターで試合に臨むチームはあまり多くありません。

【主流】FW4セット分+DF3セット分+控えFW・DF1人ずつ+ゴーリー2人

比較的スタミナが落ちづらいDFのセットを4つから3つに減らし、

余った2人分を控え選手として、FW1人・DF1人とするロスター構成です。

これにより、控え選手がいることで、より流動的にセット変更がしやすくなります。

(例えば、4セット目のFWを4人にして、4人のうち休む1人をローテーションさせてプレイすることができたり。)

ほとんどのチームは、このロスター構成を採用しております。

上記のスマイルジャパン・Pittsburgh Penguinsのロスターもこのようになっていることが見て取れるかと思います。

試合中は、FWラインとDFペアの組み合わせがズレる

FWが4セット、DFが3セットで試合を行うため、それぞれ順序よく選手交代していると、いつもと違う組み合わせのFWラインとDFペアで組むことは避けられません。

(例えば、4セット目FW+1セット目DF)

そのため、同じセットにおける、FWライン&DFペアのコンビネーションを磨いていた場合、それを発揮する機会が少なくなります。

控え選手はほとんどいない!

上記の「アイスホッケーでこれだけは理解しておいてほしいこと」でも書きましたが

アイスホッケーに控え選手はほぼいません。

ロスター構成の詳細についても書いた通り、ほとんどの選手が試合に出場しますし、控え選手としてベンチに入っているFW・DF・GK1人ずつも局所で試合に起用されることがほとんどです。

もんじ
もんじ

アイスホッケー選手あるある

「〇〇さんはスタメンなの?」と聞かれると困る。(特に2セット目以降の場合)


僕は2セット目であることが多かったのですが、堂々と「スタメンだよ!」と答えていました。

「1試合で20人くらいは同じくらい試合出るからね」と付け加えておきましょう。

なぜ頻繁に選手が交代するの?

さて、そもそもなぜ選手交代(チェンジ)を頻繁に行うのでしょうか。

それは、このアイスホッケーというスポーツが物凄くスタミナ消費が激しいスポーツだからです。

ある選手が、プレイしてから他の選手と交代するまで(これをシフト(shift)と呼ぶのですが)の時間は、基本的に40秒〜60秒ほどです

このシフト中のほとんどは基本的に全速力で走っていて、スタミナ消費が非常に辛いのです。

皆さんは100m走全力で走るペースで42.195km走れないですよね?

しかし、ノロノロとしたまま42.195km走るようなペースのアイスホッケーの試合はつまらない …。

この選手交代が可能なおかげで、展開の早い試合が行えるのです。

パワープレイ(Power Play:PP)・キルプレー(Penalty Killing:PK)の時

さて、ペナルティ(反則)についての知識がある方はこう思うかもしれません。

「パワープレイ・キルプレーの時のセットはどうするの?」

これもここで説明してしまうと、記事がとんでもない量になってしまうので、これも別の記事で書きます!もうしばらくお待ちください🙇

選手交代(ラインチェンジ(line change))の際、よくあるペナルティ

トゥー・メニー・メン(too many man)

(GKカウントせず)6人以上プレイしていると審判に判断された場合のペナルティ。

このペナルティが取られると、2分間のキルプレー(Penalty Killing : PK)(1人少ない状況での試合)になってしまう。

プレイ中、ベンチに帰ってきて選手交代しようとしている選手と、選手交代してベンチから出て行こうとする選手がいますよね?

どちらの選手とも氷上に乗ってしまう(氷に足が乗っている)ことは、一瞬であれば許されます。

これにより、スムーズで公平な選手交代が行われ、アイスホッケーはより魅力的になります。

しかし、帰ってくる選手がまだベンチからほど遠いのに、交代する選手が出ていってプレイに参加するのはズルいですよね?

よって、ルールで選手交代でズルが行われないように規定されております。

国際アイスホッケー連盟(IIHF)のルールブックによると

Players may be changed at any time during the play from the Players’ Bench provided that the Player or Players leaving the ice shall be within 1.50 m (5 ft) of their Players’ Bench and out of the play before the change is made. At the discretion of the On-ice Officials, should a substituting Player come onto the ice before their Teammate is within the 1.50 m (5 ft) limit of the Players’ Bench (and therefore clearly causing their Team to have “too many Players” on the ice), then a Bench Minor Penalty may be assessed.

(日本語訳)プレイ中のいつでも選手交代を行えます。しかし、選手交代を行う前に、ベンチに帰る選手はベンチから1.5m以内に入り、プレイから外れる必要があります。ベンチに帰ってくる選手がベンチから1.5m以内に入る前に、交代する選手がベンチから出て氷上に乗った場合、ベンチマイナーペナルティと評価される場合があります。

IIHF OFFICIAL RULE BOOK 2021/2022, p138

If in the course of making a substitution, either the Player entering the game or the Player retiring from the ice surface plays the puck with their stick, skates or hands or who checks or makes any physical contact with an opposing Player while either the Player entering the game or the retiring Player is actually on the ice, then the infraction of “too many Players on the ice” will be called.

(日本語訳)ベンチに帰ってくる選手、またはベンチから出ていく選手が選手交代を完了する前に(両方の選手が氷上にいる状態のこと)、スティック、スケート、手でパックをプレイしたり、相手選手へチェックしたりすると、トゥー・メニー・メン(too many man)というペナルティ(反則)が適用されます。

IIHF OFFICIAL RULE BOOK 2021/2022, p138-139

と記されております。

つまり要点をまとめると

  • 交代するためにベンチに帰ってくる選手がベンチから1.5mの範囲に来る前に、交代する選手がベンチから出ていくと、反則になる可能性あり。
  • ベンチに帰ってくる選手、ベンチから出ていく選手の両方が氷上にいる状態で、どちらかの選手がプレイに関わると反則!

もちろんしっかりとルールブックを熟読した上で記載しておりますが、アイスホッケー初心者に向けた解説のため、一部厳密性に欠けております。

この記事から発生したトラブルに関していかなる責任は負いません。是非、国際アイスホッケー連盟のHPのルールブックをご参照ください。

The new Rule Book is here, international ice hockey federation, https://www.iihf.com/en/news/26475/the_new_rule_book_is_here, 参照2022-02-10

まとめ

「選手交代(チェンジ(change))」「セット(set)」まとめ
  • アイスホッケーはスタミナ消耗が激しいスポーツなので、プレイ続行中でも一時停止中でもいつでも選手交代可能
  • ただし、アイシングの判定があった時、アイシングした側のチームは選手交代不可能
  • 「セット(set)」とはFW3人・DF2人の5人1組のこと
  • セット単位で選手交代を行う
  • 1チーム、FW4セット+DF3セット+控えFW・DF1人ずつ+ゴーリー2人で構成されることが多い。
  • このセットの組み合わせをロスター(roster)・ラインナップ(line up)と呼ぶ。
  • ズルしないように、選手交代におけるペナルティ(反則)が規定されている

このことを理解しておくだけで、よりアイスホッケー観戦を楽しめるのではないでしょうか。

これからもアイスホッケーに関する記事を書いていきますので、是非お読みくださいませ!

以上になります。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

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