▼まずECHLについて詳しく知らない方はこちらをお読みください!
北米のプロアイスホッケーリーグECHLは、日本人選手が数名プレーしているリーグということもあって、日本のアイスホッケーファンにとっても馴染み深いと思います。
そんなECHLは北米では3部に当たるリーグであり、NHLを目指す選手の育成リーグとしての側面を持ちます。
しかし、NHLでプレーする選手の9割近くがAHL(2部)からステップアップしているものの、ECHLからNHLまで飛躍を遂げる選手はごく一部です。
今回は、そんなECHLから飛躍を遂げてNHLスター選手となった選手4人を紹介いたします。
▼NHL(トップリーグ)の解説記事はこちら
▼AHL(2部)の解説記事はこちら
Jonathan Quick (39)

長年NHLに関心を持ってきた人ならば誰でも知っているであろう、小柄なベテランGKのJonathan Quick (39)
現在はNew York RangersのBack-up(サブ)ゴーリーとしてプレーしておりますが、過去に16シーズン在籍したLos Angeles Kingsでは2012年と2014年に、そして2023年に移籍後のVegas Golden Knightsにて、合計3度のスタンレーカップ制覇を果たした伝説的な現役GKです。

2012年の優勝時には、プレーオフ20試合を通してセーブ率94.6%という、とんでもない成績を叩き出し、プレーオフMVP賞であるConn Smythe Trophy(コン・スミス・トロフィー)を獲得しております。
そんなQuickも、プロキャリアの最初からNHLにてプレーしていたわけではありませんでした。
アメリカ・コネチカット州出身のQuickは、NHLドラフトの対象となる1年目の18歳の時にはドラフトされず、ドラフト対象2年目の19歳の時にやっと2005年NHLドラフトにてLos Angeles Kingsから3巡目72位指名を受けました。
直後の2シーズンをNCAAディビジョンⅠ所属のマサチューセッツ大学(University of Massachusetts)でプレーし、素晴らしい結果を残します。
その後、2007年にEntry Level Contract(そのチーム系列のNHL・AHL・ECHLのどこでもプレーできる、ルーキーのための特別な契約)を契約。
プロとしてのキャリアはECHL・Reading Royalsにてスタート。
そのプロ初出場の試合は敗戦となりましたが、2試合目でなんと初勝利・初完封・初得点の3つを同時に達成し、大きな話題を呼びました。
(これがどれくらい凄いかというと、マジで宝くじ1等当たるくらい凄い。
データによる根拠?無いよ!でも、マジで聞いたことない。)

Reading Royalsのゴールを守るQuick
そのシーズンは主にECHLにてプレーしますが、途中に何度かAHL・Manchester Monarchsにコールアップされ、そしてシーズンが始まって2ヶ月後の12月にはNHL・Los Angeles Kingsにて初出場を果たします。
▼初年度のスタッツはこんな感じ

ルーキーシーズンのAHLでの活躍が認められ、2年目からAHLでシーズンをスタート。
そしてシーズン途中にNHLに再度コールアップされ、そこからNHLにずっと定着。
後にスタンレーカップを3度獲得する偉大な選手となりました。
▼Jonathan Quickのエグいセーブ集。マジで凄すぎるって。
Jordan Binnington (31)

St. Louis Bluesの先発ゴーリーであるJordan Binnington (31)
2019年にスタンレーカップ優勝を果たし、最近行われた4 Nationsではカナダ代表の先発ゴーリーとしてカナダ優勝に貢献しました。
そんなBinningtonも、プロ入り後はすぐにNHLの舞台に立つことはできませんでした。
カナダのトロント出身のBinningtonは、2011年NHLドラフトにて3巡目88位でSt. Louis Bluesから指名され、2013年に同チームとEntry Level Contractを締結。

プロとしての1年目は主にECHL・Kalamazoo Wingsにて、2・3年目は主にAHL・Chicago Wolvesにてプレー。
3年目途中にNHLにコールアップされ、1試合だけサブゴーリーとして試合に途中出場するも結果は振るわず。
4年目、NHL・AHLのツーウェイ契約(NHL・AHLを行き来できる契約)を結ぶも、NHLでは出場できず、AHLにてシーズンを終えます。
5年目、彼の所属していたAHL・Chicago WolvesがNHL・St. Louis Bluesの傘下から抜け、St. Louis Bluesの傘下AHLチームが存在しなくなったことにより、BinningtonはBlues傘下のECHLチーム・Tulsa Oilersに送られますが、Binningtonは猛抗議。
AHL・Providence Bruinsにレンタル移籍することとなり、そこで1シーズンプレーします。
プロとしてのキャリアを歩み始めてから5年もの間、NHLにてプレーできたのは1試合のみ。
しかし、転機となったのは6年目、2018-19シーズンでした。

プロデビューから5年という長い期間をマイナーリーグで過ごしたBinnington
Binningtonは再びNHL・AHLのツーウェイ契約を果たし、新しくSt. Louis Bluesの傘下に入ったAHL・San Antonio Rampageにてシーズンを始めますが、着実に結果を残して12月にNHLにコールアップ。
2019年1月にNHL初先発として出場すると、なんとその試合で完封勝利を果たします。

波に乗ったBinningtonは、その後のSt. Louis Blues初のスタンレーカップ優勝まで大貢献。
その年の最優秀新人賞として送られるCalder Trophyのファイナリストにも選ばれました。
そこから現在まで6シーズン、ルーキーイヤーほどの結果は残せていませんが、今でもSt. Louis Bluesの先発ゴーリーとしてチームに貢献しております。
▼Jordan BinningtonのルーキーイヤーのNHL公式ハイライト
MacKenzie Weegar (31)

現在、NHL・Calgary FlamesのNo.1 DFとしてプレーするMacKenzie Weegarも、プロとしての最初の3シーズンをほぼAHL・ECHLで過ごした苦労人です。
カナダ・オタワ出身のWeegarはNHLドラフトの対象となる1年目の18歳の時にはドラフトされず、ドラフト対象2年目の19歳の時にやっと2013年NHLドラフトにてギリギリの7巡目206位でFlorida Panthersから指名されました。
2014年ジュニアでの最終シーズンを終えた後に同チームとEntry Level Contractを締結。

プロとしての最初のシーズンは、Panthers傘下のAHLチーム・San Antonio Rampageでスタート。
しかし、シーズン途中に同じくPanthers傘下のECHLチーム・Cincinnati Cyclonesに送られ、合計21試合をECHLでプレーします。

AHLからECHLへ送られた経験を持つWeegar
2シーズン目・3シーズン目は主にAHLチームでプレーすることになりますが、成長は凄まじく、チーム内No.1 DFとしてオールスターにも出場。
さらに3シーズン目終盤にはNHLにコールアップ。
Entry Level Contractが切れた4シーズン目はNHL・AHLのツーウェイ契約を結びましたが、実力を認められてNHLロスターに定着。
そこからの成長も止まらず、2022年にCalgary Flamesへ移籍した後、翌年には同チームと8年5,000万ドル(年平均625万ドル)の大型契約を結び、チームを代表する選手の1人となりました。
▼23-24シーズン MacKenzie WeegarのCalgary Flames公式ハイライト
Yanni Gourde (33)

NHLにて700試合近くの試合出場数を誇り、2度のスタンレーカップ優勝を果たしたベテランFWのYanni Gourdeも、実はNHLに辿り着くまでに長い期間をマイナーリーグで過ごしました。
カナダ・ケベック州出身のGourdeは、なんとNHLドラフトの対象だった3年間でNHLチームからドラフトされておりません。
(いわゆるUndraftedの選手)
2012年、ジュニアでの最後のシーズンを終えた後、フリーエージェントでAHL・Worcester Sharks(NHL・San Jose Sharksの傘下)と翌シーズン終わりまでの2年間(そのシーズンの残り少しと、もう1年間)の契約を結びます。
しかし、成績が振るわず、2012-13シーズンの終盤はECHL・San Francisco Bulls(同じくNHL・San Jose Sharksの傘下)にてプレーすることとなりました。

翌シーズン、同じくECHLの別チームKalamazoo Wings(当時はNHL・Chicago Blackhawksの傘下)と契約し、奮発したGourdeは大成長。
その活躍が認められ、古巣のAHL・Worcester SharksとPTO契約(Professional Try-out Contract)を結びます。

ECHLで活躍し、AHLでの契約を勝ち取ったGourde
その後、AHLにて25試合で4ゴール24ポイントと大活躍。
リベンジを果たしましたが、PTO契約で出場可能な試合数である25試合に出場したため、そのチームでの出場ができなくなりました。
そこでなんとNHL・Tampa Bay Lightnings傘下のAHL・Syracuse CrunchとEntry Level Contractを契約。
そこからはAHLにて引き続き結果を残し、プロとしてのキャリアを歩み始めて4年目、2015年12月に遂にNHLにコールアップ。
2試合に出場し1アシストとしっかり爪痕を残します。

翌シーズン、Entry Level Contractが切れた後には同チームとNHL・AHLのツーウェイ契約、そして翌々シーズンにはNHL・Tampa Bay Lightningsとワンウェイ契約、つまりはNHLのロスターを遂に勝ち取りました。
なんと、そのワンウェイ契約を結び、NHLメインで出場することになった1年目でなんと、チーム内ポイントランキング4位の大活躍。チームになくてはならない存在に。
そして2020年・2021年の2連続スタンレーカップ優勝に貢献します。
最近まで4シーズン、NHLで最も新しいチームであるSeatle Krakenにてアシスタントキャプテンとしてプレーしておりましたが、最近またトレードにて古巣のLightningsへ移籍。
Lightningsに更なる優勝カップを捧げられるか。注目です。
まとめ
ECHLは、北米3部に当たるプロアイスホッケーリーグであり、そこでプレーする選手にとって、世界最高峰のNHLでプレーするまでは高い壁がありますが、その壁を乗り越えてNHL選手となった選手が何百人といます。
中には、今回紹介した4人の選手のように、NHLのスター選手へと飛躍を遂げた選手も。
その道は決して容易ではありませんが、ECHLからNHLへステップアップすることは十分可能です!
ECHLでプレーする日本人選手たちにエールを送りましょう🔥
▼NHL(トップリーグ)の解説記事はこちら
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