2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪アイスホッケー競技の最終予選が今月末(2024年8月末)に行われます。
今回は、その最終予選の相手国の一つであり、
8月31日(土) 深夜2:30(日本時間) に対決するデンマークについて詳しく解説していきます。
最終予選の概要・試合日程と敵国の簡単なまとめについては以下をご覧ください。
日本 vs デンマーク比較
日本 | デンマーク | |
---|---|---|
世界ランキング(58ヶ国中) | 24位 | 11位 |
2024世界選手権 | Division1A(2部) 5位/6ヶ国 →実質世界21位 | Top Division 13位/16ヶ国 |
選手たちの主な在籍リーグ | アジアリーグ (日本・韓国からなる国際リーグ) | スウェーデン1部・フィンランド1部・ドイツ1部などの ヨーロッパ主要トップリーグ |
注目選手 | – 平野裕志朗(ICEHL・Innsbruck) – 佐藤優(前シーズンKHL・Torpedo) | – Nikoraj Ehlers(NHL・Winnipeg) – Frederik Andersen(NHL・Carolina) |
NHL経験者 | 1人 | 17人(うちほとんどが現役) |
競技人口(人) (2024年IIHFが発表) | 16,219 (1万人あたり約1.3人) | 5,147 (1万人当たり約8.7人) |
ここ8年間で最も格上な相手
デンマークはアイスホッケーが盛んな国の1つ。
競技人口は、日本が16,219人、デンマークが5,147人と、日本の方が約3倍。日本の方がアイスホッケーが盛んなように思えます。
しかし、デンマーク全体の人口は約600万人ほど。千葉県全体の人口よりも少なく、日本の人口の21分の1ほどしかいません。
人口1万人あたりのアイスホッケー競技人口で比較すると、日本は1.3人、デンマークは8.7人と、デンマークの方が6倍ほどの割合でアイスホッケープレイヤーがいることが分かります。
国際アイスホッケー連盟が過去4年間の世界大会での結果を元に発表している世界ランキングでは、日本は24位、デンマークは11位と大きな差があります。
またデンマークは2001-02シーズンに世界選手権Division1(当時の2部リーグ)で優勝してTop Division(1部リーグ)へ昇格して以来、なんと一度も降格していません。
20年以上ずっと、カナダやアメリカ、ロシアなどの世界のトップの国々と戦って、生き残ってきたチームです。
対する日本は、世界選手権では8年もの間、Division1B(3部)でプレー。
2023年に昇格を果たし、2024年には、Top Division経験国が集うDivision1A(2部)で5位/6ヶ国で最低限の残留という結果。
2004年以来の20年間、世界選手権Top Divisionの氷を踏んではいないため、デンマークとは戦ってきた舞台に大きな差がある国と言えるでしょう。
世界トップリーグでプレーする選手たちが勢揃い
歴史上、世界最高峰アイスホッケーリーグであるNHLにてプレーしたことのあるデンマーク人はなんと17人。
これは少ないようにも思えますが、NHLにてプレーしたことのある日本人は、今回の最終予選に参加する日本代表にもメンバー入りしているゴールキーパーの福藤豊選手(41)(現H.C.栃木日光アイスバックス所属)のみ。
スケーター(ゴールキーパー以外)でNHLでプレーしたことのある(日本生まれの)日本人はいません。
今回発表されたデンマークのロスターには、NHLにて現役でプレーする選手6名全員が名を連ねています。
そして彼ら以外にも、スウェーデン1部やフィンランド1部、ドイツ1部などの、日本のリーグよりも遥かにレベルの高いヨーロッパトップリーグで大活躍する選手ばかり。
もしデンマークのどの選手が日本代表に加わったとしても、超主力としてその地位を確立するくらいの選手の集まりとなっています。
2022北京五輪でやっと初出場
そんなデンマークでも、1946年の国際アイスホッケー連盟の加盟以来、長い間オリンピックへの出場権を得ることはできていませんでした。それほどオリンピックへの出場する12ヶ国の中に入るというのは非常に厳しい道のりというわけです。
2021年、デンマークは遂に史上初めて最終予選でライバルのノルウェーを下し。グループ優勝。
ちなみにこの時の最終予選では、日本がしのぎを削るライバルである韓国になんと11-1で大勝。
2P・3Pには韓国に合計1本しかシュートを打たせていません。ヤバいって。
その後、2022北京五輪へ出場し、なんと予選リーグにて格上のチェコ(当時世界ランキング7位)とスイス(当時世界ランキング6位)を下して2位通過。
決勝トーナメント1回戦でも、ラトビア(当時世界ランキング11位)を下し、初めての五輪出場でベスト8入りを果たしたのです。
対する日本は、1998年の長野五輪にて開催国枠として初出場するも、それ以来の6大会では全て最終予選、もしくはその一つ前段階での予選の壁を越えられず、現役選手の中でオリンピック経験者は0です。
正直に言って、デンマークはかなりの格上なチームであり、2016年に日本代表が2018平昌五輪最終予選で戦って3連敗に喫したドイツ・オーストリア・ラトビア以来の強豪国だと言えるでしょう。
(1大会前の2022北京五輪予選では、3次予選でスロベニア(当時世界ランキング20位)に敗北し、最終予選にも辿り着いていません)
デンマーク要注意選手
現役のNHL選手を6名要する今回のデンマーク代表。
やはり要注意選手として挙げるのはNHLで活躍しているこの4名となりました。
背番号 | ポジション | 名前(年齢) | 所属 |
---|---|---|---|
31 | GK | Frederik Andersen(34) | Carolina Hurricanes(NHL) |
24 | FW | Nikolaj Ehlers(28) | Winnipeg Jets(NHL) |
28 | FW | Oliver Bjorkstrand(29) | Seatlle Kraken(NHL) |
20 | FW | Lars Eller(35) | Pittsburgh Penguins(NHL) |
Frederik Andersen(フレデリク・アンダーセン、 34歳)
まずはこの守護神。2023-24シーズンでNHL最高セーブ率を記録したFrederik Andersen(フレデリク・アンダーセン、34歳)
192cm / 104kgと、NHLでは割と普通くらいなサイズだが、日本人からすれば規格外。
とんでもない威力と精度のシュートが飛んでくるNHLにて、昨シーズンのセーブ率はなんと93.2%と、脅威の大活躍。
(怪我で16試合のみの出場となったことが悔やまれます)
まず、普通のシュートを打ったとしても全て彼によってセーブされると考えておいた方が良いでしょう。
Nikolaj Ehlers(ニコラ・イーラース, 28歳)
なんといってもこの男。Nikolaj Ehlers(ニコラ・イーラース、28歳)
182cm / 79kgと割と少し身軽な選手。しかしプレーはめちゃくちゃに研ぎ澄まされている。
2014年のNHLドラフトにて、Winnipeg Jetsから1巡目9番指名を受け、2015年19歳でNHLデビュー。
そこから今まで10シーズン642試合に出場し、471ポイントと大活躍。
2020-21シーズンには、レギュラーシーズン47試合で46ポイントと、ポイントパーゲーム(1試合平均1ポイント)に到達する手前でした。
翼が生えているんじゃないかってくらい素早いスピードと、高精度なシュートが持ち味で、非常に攻撃力の高いフォワードです。
今回の最終予選では24番を着用するらしい。
この選手をいかに好きにプレーさせないかが重要となります。
Oliver Bjorkstrand(オリバー・ビヨークストゥランド、29歳)
Ehlersに次いで、デンマークの攻撃の中核を担うのがOliver Bjorkstrand(オリバー・ビヨークストゥランド、29歳)
183cm / 80kg。そこまで大きな選手ではない。
(日本人からしたら大きいけど)
Ehlersほどスポットライトが当たる選手ではないですが、全てにおいて能力が高いオールラウンダーFW。
高い精度でのシュート・パスをこなしてプレーの起点となり、そして相手からパックを奪うスキルや守備力にも定評があります。
2013年NHLドラフトにてColumbus Blue Jacketsから3巡目89番指名を受け、2015年に20歳でNHLデビュー。
現在まで10シーズン590試合に出場し、358ポイントとコンスタントに得点に絡んでいます。
そんな彼のあだ名はThe Maestro(巨匠)
Lars Eller(ラーズ・エラー、35歳)
EhlersやBjorkstrandほど輝いた記録を残す選手とは言えないですが、圧倒的に経験量が豊富な選手がLars Eller(ラーズ・エラー、35歳)
188cm / 90kgとNHLでは平均サイズ。
2007年NHLドラフトにて、Saint Louis Bluesから1巡目7番指名を受け、2009年に20歳でNHLデビュー。
そこからNHLにて16シーズン、なんと1139試合以上も出場し、451ポイントという結果を残している。
NHLにて1000試合以上出場しているデンマーク人は彼が初。
2018年にはWashington Capitals時代には、スタンレーカッププレーオフ決勝戦GAME5にて、優勝を決める勝ち越しゴールを決め、見事スタンレーカップ(優勝トロフィー)を手にしています。
日本 vs デンマーク、過去の対戦成績
日時 | 大会名 | 結果 |
---|---|---|
2017/02/10 | ユーロアイスホッケーチャレンジ | 🇯🇵1:6🇩🇰 |
2010/02/13 | 長野カップ | 🇯🇵2:4🇩🇰 |
2007/11/11 | ドイツカップ | 🇯🇵5:2🇩🇰 |
世界選手権でもカテゴリーが違く、なかなか戦うことのなかった相手。
最も直近では7年前の2017年2月に戦っており、その時の結果は日本1-6デンマーク。
5点差と結構実力差が開いている様子が読み取れる結果だったが、7年も経てばいくらでも実力は変動し得る。この差をどれだけ縮められているか。
結果予想
NHLでプレーするスター選手をしっかりと召集し、ガチで勝ちに来ているデンマーク。
正直言って、ノルウェーと同じで100回やったら95回は負かされる相手。
世界中のアイスホッケーファンは口を揃えてデンマークの勝ちだと言うでしょう。
しかし、勝機がないわけではない。
徹底的に守って、パワープレーなどの少ないチャンスをしっかりと決めきれば、その5回を掴み取ることができると僕は考えています。
僕の予想は、シュートアウト(延長PS戦)までもつれこんで、
日本2-1デンマーク(17 SOG 42)で日本の勝利!
どうか、日本代表の選手たち、ジャイアントキリングを起こしてほしい!
がんばれニッポン!
YouTube生中継
この最終予選の試合は、全てTBSスポーツさんのYouTubeチャンネルにて、生中継されます!!
みんなでこれを見て、応援しましょう🔥
最終予選概要、試合日程はこちら↓
他のデンマーク以外の2国についての記事はこちら
アイスホッケーのルールが知りたい方へ
当ブログでは、アイスホッケー歴20年のこの僕が、アイスホッケーの面白さを1人でも多くの方に届けるために、アイスホッケーのルールや用語の解説を行なっております!!
とりあえずこちらのブログ記事を読んでみてくださいませ😊