大学卒業。慶應義塾での日々の振り返りと今後の展望

お知らせ

こんにちは。十文字陽亮です。

先日、大学の卒業式を行いました。

人生の大きな区切りですので、今まで支えてくださった皆様(特に慶應義塾體育會スケート部ホッケー部門関係者様)、応援してくださった皆様、そして今後の私の活動を応援していただくために、大変長くなりますが、過去の振り返りと、現時点での将来の目標について記させていただきます。

慶應義塾へ入学するまで

元NHLerのShjon Podein(ショーン・ポディーン)選手とのツーショット。僕もNHLを夢見ていた13歳の頃。

慶應義塾大学に入りたい、慶應義塾大学でアイスホッケーをしたい、と漠然と思い始めていたのは小学生6年生の頃でした。

教育熱心な母親の影響もあり、自然と勉強とアイスホッケーの文武両道に励むことができる環境を目指してきました。特にその内情を深く知っていたわけではないのですが、当時その2つをレベルを最も高いレベルで両立しているように見えた、または母親にそう伝えられていたのは慶應義塾でした。(そして後述いたしますが、卒業する今、その判断は一切間違っていなかったと断言できます。)

受験勉強半年で挑んだ慶應義塾中等部受験は敢えなく不合格でした。しかし、慶應義塾に入る夢は一瞬たりとも絶えることがありませんでした。慶應義塾高等学校受験に向けた勉強、強豪校でのアイスホッケー、両方に情熱を注ぎ、慶應義塾高等学校に推薦受験で合格することが出来ました。

当時、面接・ディベートのご指導を賜りました、慶應義塾大学スケート部ホッケー部門のOBの方々・当時の現役生であった偉大なる先輩方のサポートのおかげで今の自分があります。

この場をお借りして深く感謝申し上げます。

慶應義塾での7年間

高校3年間

高校生の頃の県大会で優勝した時の写真(といっても県内には母校と武相高校の2校だけでしたが)

大きな期待を膨らませて慶應義塾での7年間が始まったのですが、その濃密さは想像を遥かに超えておりました。

高校は自由・自主性を重んじる校風で、自分の熱中したいことに思う存分熱中できる環境がありました。遊びたければ遊べるし、勉強したければ勉強でき、バイトをしたければバイトをできるし、アイスホッケーをしたければできる。高校にしては非常に自由な環境であり、自ら何か目標を立てて進むには素晴らしい環境でした。

そんな環境でしたので、非常に個性豊か仲間・友人が集まり、膨大な刺激を受けながら高校3年間をとにかく後悔なく過ごすことが出来ました。部活動では、アイスホッケーを通した人間教育に重きを置く顧問に3年間みっちりとご指導いただき、何事も泥臭く徹底する精神を身につけることが出来ました。

また、今までの人生では経験してこなかった、部員の半分以上が高校からアイスホッケーを始めた選手であるという、珍しい環境に身を置くことになり、全国大会上位に食い込むことはなりませんでしたが、限られた技術力の中でどのようにして勝利をもぎ取るか、そして教える立場に立つことの楽しさを学びました。

大学4年間

2つ上の兄の引退試合でのツーショット。小中・大学・そして社会人で一緒にプレーしています。

待ちに待った大学のカテゴリーでは想像の100倍、酸いも甘いも経験し、狭かった(今も狭いですが)自分の世界を少しばかり広げることができました。

慶應義塾大学での生活は、前述の小学生だった私が思い描いていたもの以上に、勉強とアイスホッケーの両方を日本トップレベルで恵まれた環境で取り組むことが出来ました。

創部約100年という長い歴史の中、OBの方々を始めとする、手厚いサポート体制が整った巨大な組織構造、日本代表やプロチームのコーチの経験があるスタッフ陣という非常に恵まれた環境の中、チームが一つの目標に向かって進む力の強靭さ、精神的に弱い自分との向き合い方を学びました。中でも、大小関わらず数えきれないほどの失敗を重ね、その度にご指導を賜りました。

また、特に目立った実績も実力もない私でしたが、世代別日本代表経験者が多く在籍する関東大学リーグTop Divisionで4年間プレーすることができ、そして1年目の春には偉大な先輩方の力によって、チームの一員として44年ぶりの早慶戦勝利を経験することができました。それ以降早慶戦勝利を実現することは叶わず、早慶戦の舞台でゴールを決めることもなく、後生まで残る悔恨をも手に入れました。

そして何より、死ぬ気で勝利を追い求めるアイスホッケーを通して、互いを深く許し合い、衝突した時は心中を全力でぶつけ合える生涯の仲間を手に入れることが出来ました。

知性が必要な場面では全力で知性を働かせて数多くの困難を乗り越え、逆に感性を必要とする場面では感性を働かせ多くの喜怒哀楽を共有し、ここまで関係の切れる気配がないと予感できるような友人に出会えたことは運命的だと思わざるを得ません。

他の大学と比較しても、どちらも非常に高いレベルで全力投球している仲間が多くいて(もちろん全員が全員そうではありませんでしたが…)、同じような経験をして卒業し、社会を先導していらっしゃるOBがここまで多くいるアイスホッケー部は非常に稀であると推察しております。

他にも学業では、経済学部で勉強していく中で、計量経済学、非常に広くいうと「データを分析し検証する」ということに深く興味を持つことが出来ました。近年のIT化の源泉であるプログラミングに触れる機会もあり、中でもPythonを用いた機械学習によるデータ分析を学び、その分野に深い知見のある教授にご指導いただきまして、卒業論文を提出することが出来ました。机に向かう勉強が格別に好きではなかった自分にとっては大きな出会いでした。

また、これは他の大学でも可能であるとは思いますが、学業第一、部活動のハードな両立はもちろん、それらの最低限の活動に加えて何かの活動をプラスして熱を注ぐことも十分可能な環境であり、場合によっては慶應義塾ならではのその実践の場さえも整っていることが多くありました。部活動は毎日短期集中的に行うため、上手く自分の時間を確保して何かに取り組むことが出来ます。私は以下の2点を取り組んでおりました。

部の主な活動以外では部活動のSNS広報に注力しました。非常に優秀な同期2名の力もあり、写真編集・グラフィックデザイン編集・動画編集の勉強と実践を行うことが出来ました。何かを発信する・感情を共有することが人より大好きな自分にとっては最高の学びの場でした。

また、本当に運の良いタイミングで慶應義塾の小学校(幼稚舎・初等部)対象のアイスホッケーアカデミーが始動し、そこでアイスホッケーコーチとしての業務に就き始めたり、そこでお気に召していただいた親御さん・生徒さん方に個人レッスンを務めさせていただきました。そこで本格的にアイスホッケーコーチとしてのキャリアを考えるようになり、コーチングとは何か、教育とは何かを模索したり、親御さん含め、アイスホッケーを全く知らない方の目線を理解する必要性を学ぶ機会を得ました。

これらのように、どちらもまだまだではございますが、勉強・部活以外にも学びを得る機会が潤沢にありました。

総括

長々と書いてきましたが、とにかく慶應義塾大学での生活を後悔したことはありませんでした。(あってもここに出てこないくらいの些細なことです)

全ての場面において恵まれており「何かをチャレンジしたい」という気持ちさえあれば、ほとんど出来ないことはないでしょう。

このような恵まれすぎている環境に身を置くことが出来たのは、入学前の面接練習から卒業まで支えてくださった家族・部活のスタッフ陣・OBOG・同期や後輩の方々・友人知人、全ての応援してくださった方々のおかげです。

もう一度ここで深く感謝申し上げます。

アイスホッケーをプレーしていて進学先を迷っている学生や、その親御さんたちには、慶應義塾への入学を強くオススメいたします。とにかく環境として恵まれすぎていたのと、決して容易な日々ではありませんでしたが、それを乗り越えた先に待っていたのは、偉大な仲間、そして困難と共に過ごして得た思い出と誇りでした。

今後の展望

コーチしている時に生徒さんが撮ってくれた写真

大変長くなりましたが、本題に入ります。

私はとりあえずこの1年間は、一般企業には就職せず、個人事業主としてアイスホッケーに関わる様々なことに挑戦していくと決めております。

どんな心境で選択をしたか

長きに渡り、自分がいかに恵まれた環境にいるかが記されており、腹が立った方もいらっしゃるかもしれませんが、私は恵まれすぎているということを、単なる一過性の事実にするつもりはございません。

以前、高校生の頃から海外でアイスホッケーをプレーし、現在、北米ECHLでご活躍していらっしゃる三浦優希選手(@yukimiura36)が発信していたNoteの内容に深く感銘を受け、「これだ!」となった言葉をご紹介いたします。

それが「ノブレス・オブリージュ」という言葉です。

”ノブレス・オブリージュ”というのは、フランス語の”noblesse oblige”に由来しており、直訳すると「高貴なる者の義務」となります。

意味としては、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指します。身分の高い者はそれに応じて果たさねばならない社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観です。もとはフランスの言葉で「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならない」、「人の上に立ち権力を持つ者には、その代価として身を挺してでも果たすべき重責がある」というような意味合いで使われてきました。例えば当時の欧米貴族には、多くの特権も与えられましたが、彼らは戦争となれば率先して最前線に立って命懸けで戦う義務も課せられました。

近年では、主に富裕層、有名人、権力者、高学歴者が「社会の模範となるように振る舞うべきだ」という社会的責任に関して用いられることが多いようです。

『25.ノブレス・オブリージュという考え方』 – 三浦優希 Yuki Miura

前述の通り、私はどの部分を取っても、周りの環境に恵まれすぎています。

「生まれる子供は家庭を選べない」という言葉がありますが、私の生まれた家庭はとにかく裕福で、普通にアイスホッケーをプレーして生活する上で、経済面・時間の面・精神面で困ることがほとんどありませんでした。

また、日本のアイスホッケー競技人口は2万人に満ちません。私はそんな中、こんなに魅力的なアイスホッケーというスポーツに出会いました。

アイスホッケーを通じて慶應義塾大学卒業まで辿り着き、この上ない友人・仲間を手に入れてきました。

とにかく運が良すぎる、その一言に尽きます。アイスホッケーに対しては感謝してもしきれない恩があります。

以前から、この恵まれすぎた環境を出来る限り使い尽くし、社会に還元していく義務があると考えている節があり、上の三浦優希さんの記事を拝読したことでその思いは一層強くなりました。私にとって、その「社会」というのが日本アイスホッケーでした。

長い間明るい話題がなく、最近やっと少しずつ活気付いてきた日本アイスホッケー界に、恵まれた環境に属している自分が何か手を加えることで小さくとも新たな風を吹かせていきたいという確固たる思いがあります。

この決断をする際、様々な選択肢を吟味し「就職して社会に揉まれた方が良い」「大企業に就職してキャリアに箔をつけた方が良い」「就職して力をつけるべき」「バカ」などと多くの人生の先輩方に散々言われましたし、まぁ実際そうなんだと思います。

しかし、どうしても私がアイスホッケーと同様に熱を注ぎたいと思える仕事が見つからなかったこと、今の日本では職に困りにくく、いつでも就職はできるという事実、そして私の決断を応援してくださる方や勉強の場をご用意していただく方もいらっしゃり、今やりたいことを無視して就職するという選択肢は、帰って自分にとってはリスクだと考えました。

(大学生活で精神の健康を崩しかけたことがあり、フルタイムの会社員を選ぶことによる精神健康上のリスクも無視できないものでした。)

自分で選んだ失敗であれば、いくらでも引き受けることが出来ますし、決断した選択肢を正解にするための努力の方がよっぽど大事です。何か失敗した時はその失敗を正解にするために学べば良いですし、それができるのは今の若いうちだけだと予感しております。過去の自分が真剣に正解だと考えていたことであればそれを責め立てる義理はありません。

まだまだひよっこで、1人で何か大きな風を吹かせることはできませんが、今現在自分でも出来るであろうアイスホッケー界貢献のための行動を継続することが、私の人生の大きな使命だと勝手に感じております。

近いうちに必ずやること・やっていること

個人事業主として以下の様々なことに挑戦していく所存です。

アイスホッケー情報まとめブログ

今みなさんが読んでいるこのサイト”Japan Hockey Hub”のことです。

日本語でのアイスホッケーに関する情報や、日本語での初心者のためのわかりやすい解説記事が存在しなかったため、アイスホッケー情報まとめブログを始めました。

アイスホッケーの観戦者を増やしたり、アイスホッケー人生をより楽しんでもらうためには、アイスホッケーについての理解が手助けになると思いました。

よってここで自分でも出来ることであるアイスホッケー情報まとめブログ記事を書き、着実に初心者に優しいアイスホッケー環境を築いていこうと考えております。

アイスホッケーYoutube

上記のブログ発信に加え、Youtubeでの動画発信も行っていく所存です。

やはりスポーツですので、動画での紹介・解説がより多くの情報を伝達するのに有効的であると確信しております。

基本的にはブログ記事のように、初心者に向けた解説を行っていくつもりで、「The Youtuber」のような企画系は行うつもりはございません(もしご要望が多数あって、余裕がありましたら行います。)

アイスホッケーコーチ

前述の通り、慶應義塾の小学校でのアイスホッケースクールに加え、私個人と生徒個人の少人数レッスン、そして、カナダでのホッケーコーチの経験があり、本場のアイスホッケー事情に精通していらっしゃるHockey Bonds Pro Shopのオーナーさんが開催していらっしゃるアイスホッケースクールのアシスタントコーチを務めさせていただいております。

日本のアイスホッケー人口2万人弱のうち、半分以上は大学・大人から始めた方々であり、加えて、数々のアイスホッケーに精通したコーチが教えているジュニア世代でも、専門的なアイスホッケー教育が行き届いていない子供たちが見受けられます。

今後、時間に余裕が生まれましたら、個人レッスン募集を拡大し、上達の熱意のある方々の手助けを行っていく所存です。

公益財団法人日本アイスホッケー連盟委員

現役の先輩委員の方々と協力し、日本のアイスホッケー普及・振興を図る活動を行って参ります。

アイスホッケー用具開発(奮闘中)

2つ、アイスホッケー界における問題解決を行うためのアイスホッケー用具を開発する予定です。

年内での製品発売を目処に現在試行錯誤を重ねております。

webアプリ開発(奮闘中)

現在、プログラミングによるweb開発を勉強中であり、とある問題解決を行うためwebサービスを作るために予定です。

こちらも年内の製品発売を目処に試行錯誤を重ねております。

また、この制作過程で身についたプログラミングスキルは汎用性に溢れ、アイスホッケー以外にも展開できる可能性が十分にありますので、必ず勉強を継続したいと考えております。

その他所属・お仕事

現在所属(予定)組織との協議上、まだ発表できないことがございます。

もうしばらくお待ちください。

その他やらなければいけないと感じたこと

とにかく目の前のチャンスに飛びつきがちです。

その飛びついたものを継続したりしなかったりしますが、とにかく動き続けていれば自ずと道は開けると信じていきます。

そう遠くない将来行いたいこと

プロ(セミプロ)アイスホッケー選手

今の自分では、日本が参加している唯一のプロリーグであるアジアリーグのレベルには到底及ばないため、一度は競技アイスホッケーから離れ、社会人チームでそれなりに続けていきます。

しかしいずれはプロ(セミプロ)アイスホッケー選手を目指しており、現時点ではヨーロッパでのプレーを目指しています。

しかし、もう学生ではない以上、ヨーロッパでの生活の資金は自ら稼ごうと考えています。

そのためには、その現地で仕事を行うよりも、現地いながらも日本の方々に向けたビジネスを行えるようにスキルを磨くのが自分に最適であると考えております。

遠い将来に達成したいこと

ここまでくると、目標というよりは夢に近いですね。ですが、死ぬまでに必ず実現したいです。

プロアイスホッケーチームを作り、オーナーになる

今の日本でアイスホッケーを普及させるためには、やはりプロチームの存在が必要です。

今現在、日本では5つのプロチームがありますが、数としては非常に僅かで、しかもどのチームも経営状況について良い噂を聞きません。

新しくアイスホッケーチームを作ることで、アイスホッケーがより日本で愛されるようになると考えております。

もちろん今の自分ではそれを実現するための素質がありませんが、ここから全力で勉強して参ります。

日本をアイスホッケー強豪国に

女子アイスホッケーはどんどん成績を出し、その国際的地位を確立していますが、男子アイスホッケーは逆にオリンピックの舞台から遠ざかるばかりです。

アイスホッケー界における教育構造を是正し、効率的にアイスホッケー人材を育成することで、日本をアイスホッケー強豪国にしたいです。

そのためには、世界各国を渡り、現地のアイスホッケーシステムを学ぶ必要があると考えております。

オリンピックで日本男子アイスホッケーチームを応援することを夢見ています。

アイスホッケー界のイチロー、大谷翔平を輩出

これはもう全アイスホッケー関係者が考えていると思うので、多くを語る必要はありませんね。

彼らを応援している野球ファンがものすごく羨むと同時に、アイスホッケーにおけるこの情景をよく思い浮かべます。

終わりに

予定の5倍くらいの長さになってしまいました。

とにかくアイスホッケーが大好きで、日本人全員にアイスホッケーを愛してもらえるように時間の許す限り、自分の人生を捧げていきたいと思います。

何かアドバイス・応援コメント・批判コメントなどございましたら、こちらのコメントかTwitterのDMにてお気楽にご連絡くださいませ。

「あぁ、色々とやってるなぁ大変そうだなぁ」と思いつつも見守っていただけますと幸いです。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

もんじ

『アイスホッケーで夢を与えたい』
アイスホッケーが好きすぎて、ドイツでセミプロアイスホッケー選手とYouTubeを始めた人。

元横浜GRITS GM補佐・広報

日本アイスホッケーの興隆に全力を尽くします。

岩手県二戸市で生まれ、4歳の時にアイスホッケーを始める。20年間競技ホッケーに熱中。
大学2年生からアイスホッケーコーチを始め、コーチ歴4年ほど。
集団・個人関わらず、小中高生のスキルレッスンに従事。

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