【選手の評価指標】アイスホッケーにおける主要スタッツ(スケーター編)

       

球技においてスタッツ(stats)は選手を評価する基準の1つとして非常に重要な役割を果たしています。

サッカーの主要スタッツは、
ゴール数(Goals)・アシスト数(Assists)・デュエル勝利数(Duels won)スプリント数(Sprints)
バスケットボールの主要スタッツは、
ポイント数(Points)・リバウンド数(Rebounds)・アシスト数(Assists)・スティール数(Steals)

という感じですが、

アイスホッケーでは、どのような主要スタッツがあるのでしょうか。

今回はアイスホッケーの選手の中でも
スケーター(ゴールキーパー以外)を評価する主要スタッツをいくつか紹介いたします。

ゴールキーパー(GK)を評価する主要スタッツについては以下記事で解説しております。

スケーターの重要スタッツはこんな感じ。

分類スタッツ名略称
基礎的なスタッツ試合出場数
(Games Played)
GP
ゴール数
(Goals)
G
アシスト数
(Assists)
A
ポイント数
(Points)
P
応用系スタッツ1試合平均ポイント数
(Points per Game)
PPG
1試合平均ゴール数
(Goals per Game)
GPG
その他のスタッツ枠内シュート数
(Shots on Goal)
SOG
プラスマイナス
(Plus-Minus)
+/-
プレー時間
(Time on Ice)
TOI
ブロック数
(Blocks)
BKS, BS
ヒット数
(Hits)
H
ペナルティ分数
(Penalty in Minutes)
PIM

では、それぞれ解説していきます。

基本的なスタッツ(スケーター編)

ここでは、スケーター(ゴールキーパー以外)の基本的なスタッツを紹介いたします。

試合出場数(Games Played)

まず、最も簡単なスタッツである試合出場数(Games Played)
略してGPと表記されます。

基本的には、試合のベンチ入りした回数ではなく、試合に出場した回数をカウントしています。

もしベンチ入りしたとしても、その試合で1度も出場機会を得られなかった場合には、このカウントは増えません。

その選手の評価に直接強い影響を与える指標ではありませんが、
怪我が多いアイスホッケーにおいて、コンスタントに試合に出場できている選手は一定の評価を得ます。

また、後述の応用系スタッツのベースとなる指標でもあります。

ゴール数(Goals)

画像引用:https://www.sandiegouniontribune.com/2024/03/22/brayden-point-scores-twice-nikita-kucherov-has-4-assists-in-lightnings-4-1-win-over-sharks/

こちらもメジャーな指標であるゴール数(Goals)
略してGと表記されます。

文字通り、その選手が何点得点したかを表す指標であり、
特にフォワード(FW)においてはかなり重要視されるスタッツです。

アシスト数(Assists)

ゴール数に並ぶ重要な指標であるアシスト数(Assists)
略してAと表記されます。

ゴールした選手に対してパスを供給した回数をカウントする指標なのですが、
アイスホッケーにおけるアシストの定義は少し他のスポーツとは違っていて面白いです。

一般的に想像する「パス」じゃなくても、
相手ゴールキーパーにシュートをセーブされたけど、その跳ね返ったリバウンドを味方が再度シュートして得点した場合も、アシストとしてカウントされます。

そしてアイスホッケーにおいては、このアシストは最大2人分までカウントされます。

つまりは、「『ゴールした選手に対してパスを供給した選手』に対してのパスを供給した選手」までカウントされます。

もし、味方選手からパスを受け取ったのではなく、
相手選手から直接パックを奪って得点した場合にはノーアシスト、つまりはアシストは記録されません。

この指標は、フォワード(FW)はもちろん、攻撃の起点ともなるディフェンスマン(DF)においても重要視されるスタッツです。

もんじ
もんじ

「めちゃめちゃ失点数が少ない」ということを売りにするディフェンスマンももちろんいますが、
やはり「得点数・アシスト数もかなり良い」ディフェンスマンはかなり重宝されます。

ポイント数(Points)

画像引用:https://www.post-gazette.com/sports/penguins/2021/02/15/pittsburgh-penguins-sidney-crosby-bryan-rust-jake-guentzel/stories/202102150120

上記で解説したゴール数(Goals)とアシスト数(Assists)を純粋に足し合わせたスタッツをポイント数(Points)といいます。
略してPと表記されます。

もしその選手が1ゴール2アシストを記録した場合、その選手は3ポイント記録したことにもなります。

ゴールやアシストをカウントするので、得点をいくら生んだかを表す指標と言えます。

もちろんフォワード(FW)の方が得点に絡みやすいので、フォワード(FW)の方が全体的にポイント数は多いですが、ディフェンスマン(DF)でも重要な指標でもあります。

これら4つがとにかく大事

インターネット上やSNSでは、これら4つの指標を組み合わせて、その選手のスタッツを記述することが多いです。

例えば
68GP – 22G – 39A – 61P
と記述されたり、

アシストを抜きにして
68GP – 22G – 61P
と記述されたり

数字だけで
68-22-61
と記述されます。

もんじ
もんじ

ちなみに、このスタッツは、昨シーズンNHL Calder Trophy(新人王)を獲得した、Connor Bedard選手のスタッツです💪

18歳でNHL入りしてこのスタッツはマジでヤバいんよ…。

重要な応用系スタッツ(スケーター編)

ここでは、上記で解説した基礎的なスタッツをベースにした重要な応用系スタッツを紹介いたします。

1試合平均ポイント数(Points per Game)

画像引用:https://www.linkedin.com/pulse/evaluating-connor-mcdavids-6-assist-game-vs-detroit-spencer-loane-qjt9c/

ポイント数を試合数で割った数値1試合平均ポイント数(Points per Game)といいます。
日本では「ポインツパーゲーム」とそのまま英語読みされることが多いです。
略してPPG、もしくはP/GPと表記されます。

1試合あたりどれほどの得点を生んだかを表す指標であり、実質、選手を評価する際に最も見られるスタッツがこれです。

もし、このPPGが1を超えていた場合、つまり試合出場数よりもポイント数の方が多い場合、
その選手は「ポイントパーゲーム(Point per Game)プレイヤー」と言われます
(Points(複数形)→Point(単数系))。

選手たちの実力が均衡したリーグでは、このポイントパーゲーム(PPG1以上)に達していれば、
めっっっっちゃくちゃに良い選手です。

世界最高峰アイスホッケーリーグNHLの公式のスタッツ保管サイト、NHL Statsにあるデータを使って、昨シーズン(23/24シーズン)のNHLに10試合以上出場したスケーター(ゴールキーパー以外のプレイヤー、10試合以上出場者のみ)合計772名を対象に、レギュラーシーズンの1試合平均ポイント数(PPG)のヒストグラムをざっと作ってみたらこんな感じ。

フォワードのPPG平均が0.47、ディフェンスマンのPPG平均が0.32でした。

チーム同士の実力が比較的均衡している32チームを擁するNHLにおいて、
昨季2023-24シーズンでは、ポイントパーゲーム(PPG1以上)に達していた選手は33名(試合出場数10以上に限定)で、おおよそ1チームに1名といった感じですね。

そのうちディフェンスマンは5名のみ。
この5名はマジで超人です。

昨季PPG1位の選手Nikita Kucherov(TBL)1.78(81GP-44G-144P)
現役最強のフォワードであるConnor McDavid(EDL)1.74(72GP-32G-132P)でした。
McDavidは、一昨季1.87(82GP-64A-153)を記録していました。やりすぎです。

1試合平均3点ずつ得点が入ると言われているアイスホッケー。
世界最高峰のNHLにてPPG1を超え、なんならPPG2に近づいていて、
そのチームのほぼ半分の得点に絡んでいるというのは、マジで凄すぎて恐怖すら覚えます。

逆にそのリーグで最底辺とみなされるようなFWは、大体PPG0.10~0.15くらいです。
(DFはもっと低い)

1試合平均ゴール数(Goals per Game)

画像引用:https://jp.reuters.com/article/life/sports/maple-leafs-auston-matthews-wins-hart-memorial-trophy-at-nhl-awards-idUSKBN2O3018/

最も重要視されるのは、上記で解説したPPGですが、
こちらの1試合平均ゴール数(Goals per Game)も重要な指標の一つです。
略してGPG、もしくはG/GPと表記されます。

どれほど得点するかどうか、つまりは得点力を表す指標です。

実力が均衡したリーグであれば、
GPGが1を超えることはまずないです。
NHLの数十年のデータが残っている限りでは、選手のGPGが1を超えたことは7度しかないようです。
NHL statsを参照)

GPGが0.4を超えていれば
つまりは5試合で2ゴール決めていればめちゃくちゃ良いスコアラーです。
(これが大体NHLで各チームに1人いるかいないかくらい)

昨季2023-24シーズンのトップGPGは
Auston Matthews0.85(81GP-69G)でした。
これもバケモンだよ…。

その他の重要スタッツ

枠内シュート数(Shots on Goal)

その試合での枠内シュート数(Shots on Goal)もかなり重要なスタッツの1つです。
略してSOGと表記されます。

いかに有効な攻撃を生んでいるかを示す重要な指標です。

しかし、枠内シュート数(SOG)が無闇に増えていてもゴール数(Goals)が多くない場合は、
シュートの質が悪いと判断されることもあります。

ちなみに、均衡した試合では大体25~40本のシュートが飛び交うアイスホッケーですが、
NHLでの1人の選手の1試合平均枠内シュート数(SOG/GP)は、3本に達すれば良い方です。

1人の選手がシュートを放つことのできる機会はおおよそ2〜3本だけ。
この2〜3本を決め切ることができるかどうかが非常に重要であることが分かりますね!

プラスマイナス(Plus-minus)

プラスマイナス(Plus-minus)とは、その選手が出場している間の得失点差を表すスタッツです。
略して+/-と表記されます。
日本では略してプラマイと呼んだりします。

その選手が出場している間に得点した場合は、ゴール・アシストしたかどうかに関わらずプラスマイナスが1つ増えます。

反対に、失点した場合はその失点にどれほど関与したかに関わらずこのプラスマイナスが1つ減ります。

厳密には、パワープレー側のチームが、プレー人数の有利さを活かして得点した場合には全ての選手のプラスマイナスは変動しません。
逆にペナルティキル側のチームがプレー人数が少ないのにも関わらず得点に成功した場合には、全ての選手のプラスマイナスは変動します。
(ペナルティキル側が+1され、パワープレー側が-1される)。

このスタッツは、どれほど得点を生んでいるかに加え、どれほど守備に貢献しているかも間接的に表しており、その選手がどれほどチームの勝利に貢献しているかを把握できる指標だと言えるでしょう。

しかし、そのチームのリーグ内での強さ/弱さがこのスタッツに強く影響します。

例えば、そのチームがリーグ内で負けまくっていた場合、そのチームに所属する選手たちのプラスマイナスは、良い選手も含めて全員マイナスに振れていたりすることもめちゃめちゃあります。

そのチーム内での選手比較に有用であるものの、そのリーグに所属する全ての選手を比較できるスタッツではないことに注意が必要です。

プレー時間(Time on Ice)

1試合に何分何秒氷でプレーしていたかを示すのがプレー時間(Time on Ice)です。
略してTOIと表記されます。

また、全ての出場した試合におけるプレー時間を平均した平均プレー時間(Time on Ice per Game)も選手のシーズンを通しての評価によく使われます。
こちらは略してTOI/Gと表記されます。

アイスホッケーでは60分の試合において
基本的にフォワードは4つ、ディフェンスマンは3つのセットを交代しながらプレーするため、

おおよそ1試合あたり平均すると
フォワードは15分、ディフェンスマンは20分のプレー時間を得ます。

しかし、
パワープレー・ペナルティキルなどの重要局面では、コーチは信頼している選手をプレーさせますし、
途中で調子の悪い選手を出場させなかったりします(これを干されると言います。)

すると、信頼されている選手は多くのプレー時間を得ることができ、
反対に、信頼が足りていない選手はプレー時間が限られてきます。

つまり、試合の采配を行うコーチ陣からの信頼度を表す指標だと言えるでしょう。

ブロック数(Blocks)

画像引用:https://thehockeynews.com/news/block-party-nhl-players-are-blocking-shots-at-record-breaking-levels

ブロック数(Blocks)とは、その選手がいくらシュートブロックしたか、つまり相手のシュートをどれほど体を張って止めたかを表すスタッツです。
海外ではBKS、もしくはBSと略して表記されることがあります。

主にディフェンス貢献度を表す指標として使われています。

もんじ
もんじ

世界最高峰リーグのNHLでは、全力で放たれるパックは最速で時速160kmとかになったりするのでブロックの当たりどころが悪いとめちゃんこ痛いです。

こうやって体を張ってパックをブロックする選手、マジで凄すぎるんですよ…。

ヒット数(Hits)

画像引用:https://www.thescore.com/news/1285914-capitals-schmidt-ovechkin-replaced-parts-and-kept-going-after-kadri-hit?fb_comment_id=1221733697936241_1222362181206726/amp

アイスホッケーの醍醐味である、相手選手の動きを止めるためのボディチェッキング、ヒットの数(Hits)を記録するスタッツです。
略してHと表記されることがあります。

もし、そのヒットが反則行為だとみなされた場合には、ヒット数はカウントされず、その選手にペナルティが科されます。
あくまで合法的なヒットである必要があります。

主に、激しいフィジカルプレーを得意とする選手がカウントを伸ばしますが、得点力やアシスト力を強みとする選手はそこまでヒット数が多くありません。
(たまにヒット数もポイント数も多い、貢献度の高い選手がいます。)

ペナルティ分数(Penalty in Minutes)

ペナルティ分数(Penalty in Minutes)は、その選手が記録したペナルティの分数を記録するスタッツです。
略してPIMと呼ばれることが多いです。

アイスホッケーの基本ペナルティは2分なので、基本的には2分ずつ積み上がっていきますが、

メジャーペナルティによって5分、
ミスコンダクトペナルティによって10分、
そしてゲームミスコンダクトペナルティによって20分が加算されるので

PIMを一目見て
「あぁ、こいつめちゃめちゃ荒っぽい選手だ」って分かる選手もいます(笑)

当たり前に少ない方が良いです。

しかし、北米などの乱闘がかなり盛んな地域では、乱闘要因とも呼べるような選手がいたりして
そういう選手たちは、お構いなしにこのPIMを伸ばしていきます(笑)

まとめ

分類スタッツ名略称
基礎的なスタッツ試合出場数
(Games Played)
GP
ゴール数
(Goals)
G
アシスト数
(Assists)
A
ポイント数
(Points)
P
応用系スタッツ1試合平均ポイント数
(Points per Game)
PPG
1試合平均ゴール数
(Goals per Game)
GPG
その他のスタッツ枠内シュート数
(Shots on Goal)
SOG
プラスマイナス
(Plus-Minus)
+/-
プレー時間
(Time on Ice)
TOI
ブロック数
(Blocks)
BKS, BS
ヒット数
(Hits)
H
ペナルティ分数
(Penalty in Minutes)
PIM

ゴールキーパーのスタッツは以下で解説しております!

ではここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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