アイスホッケーのペナルティ・ショットについて知らない方は、まずこちらの記事を読んでね!
サッカーでいうペナルティ・キック(PK)に当たる、アイスホッケーのペナルティ・ショット(PS)。
サッカーでは、ペナルティエリア内で守備側のチームが反則を犯した際に、攻撃側のチームにPKのチャンスが与えられますが、
アイスホッケーでも、その名前に「ペナルティ」とあるように、
守備側のチームがとある状況下で反則を犯した時に、攻撃側のチームにペナルティ・ショット(PS)の機会が与えられます。
ではどのようなルールで、選手にペナルティショットが与えられるのでしょうか。
今回は、ペナルティショットが与えられる条件2種類と、そのペナルティショットにおけるルールについて解説いたします。
ペナルティ・ショット(PS)が与えられる条件
1. ブレイクアウェイ状態の選手に対する後方からの反則行為
ニュートラルゾーン・アタッキングゾーンにて、パックを持って抜け出した攻撃側の選手と、その選手が向かうゴールの間に、相手のゴールキーパー以外の選手がいない状態をブレイクアウェイと言います。
- ブレイクアウェイ状態の選手に対して
- 守備側の選手による後方からの反則があり
- その妥当な得点のチャンスが奪われた
上記の3つの条件を満たしていると審判によってみなされた場合、攻撃側のチームにペナルティ・ショットのチャンスが1回分与えられます。
もしどれか一つでも満たしていない場合、普通の反則としてペナルティがその選手に科され、パワープレーへと移行します。
また、ブレイクアウェイ状態の選手に対する後方からの反則行為によって、妥当な得点のチャンスが1度は奪われたとしても
その選手自身が体勢を立て直してそのチャンスをもう一度手にし、ゴールにシュートを放つことができた場合は、ペナルティ・ショットは与えられないことに注意が必要です。
「妥当な得点のチャンスが奪われたかどうか」が大事
ルールブックには、このペナルティ・ショットを設けている意義について、以下のように書き記しています。
The intention of this rule is to restore a reasonable “scoring opportunity” which has been lost.
(このルールの意図は、失われた妥当な「得点の機会」を回復することである。)
IIHF OFFICIAL RULE BOOK 23/24, RULE 24『Penalty Shot』, p-54
上記で掲示した条件3つのうち、1つ目・2つ目はかなり分かりやすいのですが、問題なのは妥当な得点のチャンスが失われていたかどうかです。
かなり曖昧な条件であり、審判に判断の裁量が委ねられているため、その判断に多くの議論が巻き起こることがあります。
2. 守備側がゴールクリース内のパックをズルして止める
守備側のチームがピンチの時に、ゴールクリース内のパックに対して覆い被さったり、手で拾い上げたりした場合は、攻撃側のチームにペナルティ・ショットのチャンスが与えられます。
ゴールクリース内にパックがある場合、守備側のチームはプレーが続行不可能になるようなズルい行為をしてはいけません。
ペナルティ・ショットを引き起こした反則行為に対してのペナルティは?
上記でも解説したように、ペナルティ・ショットは、「妥当な得点のチャンスの回復」であるため、
その与えられたペナルティショットで攻撃側の選手がゴールしたか否かに関わらず、その反則行為に対してペナルティが科されることはありません。
しかし、これは最も軽度なペナルティであるマイナーペナルティに値する反則行為を犯した場合のみであることに注意が必要です。
もしそのペナルティ・ショットを引き起こした反則行為が、マイナーペナルティだけでは十分でないほど悪質であり、メジャーペナルティやゲームミスコンダクトペナルティに値すると審判によって判断された場合には
ペナルティショットで攻撃側の選手がゴールしたか否かに関わらず、その反則行為を犯した選手に通常通りペナルティが科されます。
ペナルティ・ショット(PS)のルール
誰が行っても良い
ペナルティショットはその機会を与えられたチームの選手であれば誰でも行うことができます。
(ペナルティボックスでペナルティを遂行している選手以外)
そのため、相手ゴールキーパーを騙す得意な技を持っている選手や、良いシュートを持っている選手が行うことが多いです。
こちらの記事でも解説しておりますが、ペナルティショット(PS)の成功率は20%~40%ほど。
人によってこの確率は大きく変わるのです。
パックは常に前方に進んでいなければならない
センターアイスに置かれたパックを拾ってゴールにシュートを打つまでの間、パックは常に前方に進んでいる必要があります。
もし一瞬でも後方に進んだ場合にはそのペナルティ・ショットは無効となります。
ゴール横のゴールラインを一度割ってしまった場合には、その時点でペナルティショットが終了となります。
1回シュートを放ったら終わり
ペナルティショットでシュートできるのは1度のみ。
ゴールキーパーが止めて跳ね返ったパック(リバウンド)を再度シュートしても、それは無効となります。
ゴールキーパーはゴールクリースからスタート
ゴールキーパーは、センターアイスからパックを運んでくるシューターに対して一度少しだけ距離を詰め、その後枠を埋めながら徐々に下がってセーブするのが定石です。
この時、シューターがパックに触る瞬間は、ゴールキーパーはゴールクリースに留まっていないといけません。
おもしろペナルティショット
バックスケーティングしても良い
パックをゴール近くまで持っていく間にバックスケーティングを行ってもOKです。
めっっっっちゃゆっくり行っても良い
特にペナルティショットを行うにあたっての制限時間も設けられていないため、時間をかけて行ってもOKです。
めちゃめちゃに時間をかけて、相手ゴールキーパーとの心理戦で優位に立ち、上手く得点に成功する選手もいます(笑)
しかし、試合の進行を遅らせる行為は「ディレイング・ザ・ゲーム(Delaying the Game)」とみなされるため、常識の範囲内で行う必要があるでしょう。
こんな遊びをする選手も
当たり前ですが、このようにパックをスティックに乗せてスティックごとゴールに投げ入れるのはダメです(笑)
(遊びでやる分にはもちろんOK)
それにしてもすごいスキルですね😂
まとめ
このことを理解しておくだけで、よりアイスホッケー観戦を楽しめるのではないでしょうか!
以上になります。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!